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「なぜ、戦力外になったのか。自分なりの理由を記せ」戦力外通告でヤクルト移籍、野村克也監督の衝撃…連日連夜のミーティングで驚いた“その内容”

posted2025/12/16 11:01

 
「なぜ、戦力外になったのか。自分なりの理由を記せ」戦力外通告でヤクルト移籍、野村克也監督の衝撃…連日連夜のミーティングで驚いた“その内容”<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

西武から戦力外通告を受けた渡辺久信は1998年、野村克也率いるヤクルトでプレーした

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渡辺久信

渡辺久信Hisanobu Watanabe

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Naoya Sanuki

選手、コーチ、監督、フロントとして西武ライオンズの栄光と苦悩を20年にわたり経験してきた渡辺久信。西武から戦力外通告を受けた1997年オフ、ヤクルト移籍のウラ側とは。その野球人生を綴った書籍『獅子回顧録』(カンゼン)から一部抜粋して紹介する。〈全2回の2回目/第1回へ〉

 ヤクルトでまず取り掛かったのが、野村さんから課せられたレポートの提出だった。

「なぜ、前球団で戦力外になったのか。自分なりの理由を記せ」

 さすがに何を書いたかまで覚えていないが、後日、野村さんから「おう、渡辺か。やっぱり、お前が一番ちゃんとしたことを書いていたな」と言われて、ちょっと嬉しかった覚えがある。

連日連夜MTG…その中身

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 野村さんと言えば、ミーティングである。ただ話をするのではなく、ホワイトボードに自ら言葉を記し、選手は黙々とノートに書き写す。春のユマキャンプでは、連日連夜ミーティングがあり、一文字も書き逃さないようにペンを走らせた。こんなに文字を書いたのはいつ以来か……。ここだけの話、野村さんの字はふにゃふにゃしていて、何を書いているのかわからないときがある。その箇所だけ飛ばして、あとでほかの選手に確認することもあった。

 書くことは大変だったが、さまざまな学びが楽しかった。新鮮だったのは、カウント別の投手心理、打者心理を細かく解説してくれたことだ。それによって、自分が持っていた感性や感覚に、根拠となる理屈や裏付けが加わった実感があった。西武でもミーティングはあったが、打者のチャートを作成するのが主で心理面までは掘り下げていなかった。

 私自身、投手心理はわかるが、打者心理の深いところまではわからない。野村さん曰く、「2ボール0ストライクのときはピッチャーがもっとも得意な球種を狙っている」。つまりは、ストライクを取れる確率が高い球種、ということだ。

【次ページ】 学んだ“ノムラの教え”

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