- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
夏の甲子園3試合で打率4割、2本塁打の大活躍…《大阪桐蔭撃破の立役者》履正社「プロにこだわる」“苦労人”4番打者・森田大翔に指名はあるか?
posted2023/10/24 11:01
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Hideki Sugiyama
「正直……悔しかったですね」
世界一に輝いたU-18W杯から帰国して約10日後。自身について振り返ろうとすると、履正社高校の森田大翔はやはり表情を曇らせた。
8月下旬に行われた大学JAPANとの壮行試合、W杯開幕のスペイン戦、そして2戦目のパナマ戦では4番に抜擢された。次戦のアメリカ戦でも5番に名を連ねたが、オランダ戦、スーパーラウンドの韓国戦はノーヒット。プエルトリコ戦は代打での出場に留まった。初めての日本代表は、慣れない環境下でのコンディショニングの難しさを痛感した。
「試合が続いたことより、調整が難しかったですね。バッティング練習は、自分は短い距離からゆったりとした間合いで打って感覚を養うんですけれど、それができなくて感覚が狂ってしまったんです。自分の間が取れなくなったことで、変化球を全部振ってしまって……。JAPANにいる間は思うようなバッティングができなかったです。
最後にプエルトリコ戦で代打で打った時は良かったんですけれど、続けて良いことはなかったですね。なかなか自分のリズムを作ることができないまま最後まで最高の形を作れませんでした」
今夏は大活躍だった森田は、意外にも「遅咲き」
今夏の大阪大会では7試合で打率は5割を超え、3試合連続ホームランを放った。甲子園でも2本塁打を叩き込み、今年の高校生を代表する右のスラッガーとして名を上げ、日本代表メンバーに選出された。
だが、実は森田は昨春、夏の大阪大会ではベンチ外だった。振り返ってみれば、入学直後から長距離砲として期待されてきたが、なかなかレギュラーに定着できなかった過去がある。
「1年生の時は、まず体を大きくすることを考えていましたが(当時の岡田龍生監督の)高速ノックになかなかついていけなくて、体重アップどころか減る一方でした。でも、食らいついていくことだけを考えてやってきました」
1年の秋には、西稜太、森澤拓海といった同級生がレギュラーを掴んだ。森田もベンチには入ったが、出場機会は限られた。さらに2年春になると右ヒジに違和感を覚え、思うようにバットが振れない日々が続いた。