トルコ戦を“満点”としたブラン監督が特に評価したのがディフェンスだった。「ディフェンスはブロックなくしてあり得ない」と述べ、前半は相手のミドルに対してブロックでプレッシャーをかけ続け、トルコの攻撃がサイドに偏る展開となったこと。そしてそれこそがまさに狙い通り、日本のディフェンス力を発揮する策でもあったことを明かしている。

　ブロックでの直接得点のみならず、跳ぶべき場所で跳び、抜けたボールは関田やリベロの山本智大が拾う。日本の武器でもあるディフェンスを機能させるためには、いかにミドルブロッカーが献身的に働くことができるか。ブラン監督の評価は、まさにその表れでもあった。

　実は大会前に足首を負傷し、高橋の状態は万全ではない。チュニジア戦のブロック時に同じ箇所をひねり、痛み止めを服用しながら試合に臨み、トルコ戦でも着地の後に足を引きずる場面もあった。

「（コンディションは）万全ではないです。でもそこは大丈夫。むしろ、もっと状態がよければ9番のレフトからのインナーとか、もっと簡単に、バーンと止められるのにって思うから、そこは悔しいですね」

　エゴはいらない、と言いながらも「止められたのに」と悔しがる姿はやはり高橋らしく、何より頼もしい。

高橋健太郎の雄叫び　©︎Yuki Suenaga

　残すは3戦。1敗のセルビア、無敗のスロベニアとアメリカ。言うまでもなく強敵、難敵ばかりが待っている。

「みんな少しずつよくなっているし、僕もそう。だから最後に向けてピークが来ればそれで充分戦える。たとえ僕がダメだったとしても、チームが勝てればいい。とにかく必死に、頑張ります」

　トルコ戦の序盤、関田が使い続けた速攻が、後に多彩な攻撃へとつながる布石になったように……フィンランド戦のあの交代が「今、ここにつながるきっかけだった」と笑顔で言えるその日まで。ただひたすら、勝利だけを目指して跳び続ける。

　自身を活かしてくれるトスを上げ、ブロックが抜けたコースを確実に拾ってくれる、最高の仲間たちを信じて。