社会人のベテラン投手が選んだ「ドラ1」候補は…？

「まず『すごい！』と思ったのは、中央大学の西舘（勇陽・183cm79kg・右投右打・花巻東高）。同じピッチャーとして、とてもマネできないボールを持ってます。当たり前みたいに150キロ台のまっすぐと、あの鋭いタテの変化はどんだけ努力しても、僕には投げられない。悔しいですけど。モーションをクイック気味にして何かつかんだらしいですけど、ウチのバッターなんかは逆にそれがタイミング合わせやすかったみたいですね。でも、どっちかだけですよ。まっすぐか変化球か……出会い頭しか捉えられない」

中央大の西舘勇陽投手。社会人のベテラン投手も脱帽の完成度　©JIJI PRESS

　選手たちの話に出て来なかった1位候補の名前が、ここで出てきた。

「自分に『欲しいな』と思ったのが、亜細亜大の草加（勝・182cm72kg・右投右打・創志学園高）のコントロールですね。あれだけのタッパ（身長）があって、しかも真上から投げ下ろして、ほぼオールローボールですよ。聞いたらリーグ戦でもいつもそうらしいですね。今のプロは横浜DeNAの東（克樹）とか、阪神の村上頌樹の活躍で、コントロールが見直されている。草加も評価高いんじゃないですか？」

　草加投手については、私も創志学園3年の秋に、その全力投球をブルペンで受けている。

亜細亜大の草加勝投手。コントロールの良さはプロ野球でも再評価されている？　©JIJI PRESS

　お目当てはエースの西純矢（現阪神）だったが、長沢宏行監督（当時）が「このピッチャーも負けてないですよ」と紹介してくれたのが、草加投手だった。

　荒れ球剛球の西投手に対し、空気を切り裂くようなきれいなバックスピンを両サイドにピシャ、ピシャきめてくれた草加投手の投げっぷりは今でもはっきり覚えている。

「もう1人いいですか？ 試合で投げ合いたくないのは、明治の村田（賢一・181cm87kg・右投右打・春日部共栄高）君ですね。彼、絶対、いろんなことやってますよ。ちょっとずつ、ちょっとずつ、握りを変えながらタイミングも外しながらね。絶対いろんなことをたくらみながら投げている（笑）。なかなか点の取れないピッチャー。だから、対戦するの嫌ですね」

明治大の村田賢一投手。今回の直撃取材では自分でも「自分をドラ1に選ぶ」とのこと　©JIJI PRESS

 　同じアマチュア球界の、同じ投手という立ち位置でも、やはり最高峰の「社会人」だけに、「見えてるな」と思った。

　実際に対戦したからこそわかる相手の本当の凄み。

　次回は「打者」目線からの評価をいただきたいと思う。

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