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「なぜ石川真佑ベンチスタート?」は“最強布陣”への準備…バレー女子代表の序列に変化「日本が勝てば誰が出てもOK」「モヤモヤはない」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2023/09/19 11:03
これまで中心メンバーとして日本代表で活躍してきた石川真佑。自身の不振を乗り越え、“新しい役割”に向き合っている
「途中から入ってしっかりサーブで崩す。まず1試合1試合そういう気持ちで入って、前衛に入って打つ時は決めきる気持ちで攻める。気持ちの切り替えはうまくできていると思います」
ペルー戦では第2セット、12対7の場面で出番が訪れ、その流れで鋭いスパイクを決めた。さらに言えば、試合前の公式練習で打つスパイクも威力があり、好調はうかがえる。
だから今は、1本のミスも悔しがりながら笑顔で振り返ることができる。でもひと月前、石川は壁にぶち当たっていた。
「14人、残れなかったらどうしよう」
8月に開催された鹿児島・薩摩川内での合宿終盤だった。
五輪予選へ向けて選手が17名から14名に選考されるタイミングでもあり、終盤には有観客での紅白戦も開催された。国際大会に向けた壮行試合で、ファンサービスの色合いも強いが、それだけではない。むしろ選手にとっては生き残りをかけた最後の戦いの場だ。
石川が発したのも、期待よりも不安。
「14人、残れなかったらどうしよう」
本心だった。それほど、1カ月前の石川は不振にあえぎ、何もかもうまくいかないと明かしていた。
「最近に限らず、ずっとうまくいっていなくて。昨日もサーブレシーブとサーブの練習をしていたんですけど、サーブレシーブも全然返らないし、スパイクもサーブも全然ダメ。もうこんなんじゃやばい、絶対に選ばれないと思ったし、全部嫌になったこともありました」
特に苦しんでいたのがスパイクだ。