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「なぜ石川真佑ベンチスタート?」は“最強布陣”への準備…バレー女子代表の序列に変化「日本が勝てば誰が出てもOK」「モヤモヤはない」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2023/09/19 11:03
これまで中心メンバーとして日本代表で活躍してきた石川真佑。自身の不振を乗り越え、“新しい役割”に向き合っている
「自分ではいつも通りやっているつもりなんですけど、いい時とは明らかに違う。チームとしてトスの速さを求められている中で、私は速さを求めすぎると高い打点で打てずに、余裕がなくなる。自分の良さが出ていないので、トスの速さを求めながらも自分自身がしっかり打てるところを追求していかないといけない。自分はこうしたい、というのをどこまでアピールしていいのか、自分だけじゃなく周りもいるので、わかっていてもどうしたらいいかわからない。何となくずっと、もやもやしています」
少しでも感覚を取り戻したい。そのためには練習あるのみ、と異常なほどに練習する。全体練習の前には誰よりも早く来て、サーブレシーブを何本も何本も受け、コンビを合わせる。
ただの真面目じゃなく、ど真面目。うまくいったことよりも、うまくいかないことにばかり目が向きがちで、切り換えるのもうまくない。
今年5月に発表されたイタリア移籍は、「切り替え下手で考えすぎる」自分を変えるため。そして世界で戦う技と自信を得るためのきっかけを求めたものでもあった。
「本当はオリンピックが終わってから行きたかったんです。2019年から(日本)代表に選出されて、戦う基準が常に海外選手、となった時に、自分はまだまだだな、と思うことが多すぎて。もちろん通用する部分もあるけれど、もう一段階レベルアップしたかった。私、いろんなことを考えすぎたり、気にしすぎる性格なので、海外で、初めての人たちの中でバレーボールをしたらどうなるだろう、と少し楽しみでもあるんです」
「リリーフエースのような役割も期待している」
新たなスタート。パリ五輪予選は、その第一歩でもある。
選手である以上、しかもバレーボールを始めた小学生の頃からエースポジションを担ってきただけに、スターティングメンバーで出たいと思う気持ちがないと言えば嘘になる。
だが五輪への出場権をかけた舞台に臨めるのはわずか14名。そのすべての力を結集させる舞台であり、当然ながら対戦相手や選手のコンディションによってさまざまなフォーメーションで臨むことも予想される。実際に眞鍋政義監督も、初戦のペルー戦後の記者会見で、石川に対しては「リリーフエースのような役割も期待している」と述べた。
そして主将の古賀も、「今はサイド陣が全員(調子が)いい」と断言する。