核心にシュートを!BACK NUMBER
屈辱の惨敗→監督解任劇「また布陣変更に問題を抱えた」ドイツに欠いて、日本代表が持っていたもの…名手キミッヒ「僕たちは“自信”を」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byMutsu Kawamori
posted2023/09/12 17:00
試合中、頭を抱えるドイツ代表DFのルディガー。日本相手の惨敗を象徴するひとコマだった
しかし、シュートはわずか5本で、枠内シュートは1本だけ。その枠内シュートも後半に1-4となった時点でギュンドガンが放ったものだ。一方で、日本のシュートは9本で、そのうちの8本は枠内に飛んでいた。
キミッヒのコメントやキッカー誌の分析にあるとおり、日本の守備の安定感はドイツを寄せ付けなかった。そして、その守備が試合の最後に猛威を振るった。
「タナカのゴールで屈辱的な敗北を完璧なものに」
フリック監督は苦々しく、こう振り返っている。
「(後半に)我々は攻撃で多くのことにトライしたが、後方のポジションで多くの失敗をしてしまった。ただ、その失敗は、相手が我々に襲い掛かってきたから生まれたものだ。だから、日本が勝利に値したのだ」
ルディガーのパスミスに久保建英が鋭く反応してからカウンターをしかけ、3点目につなげたシーンなどは、日本が牙をむいて「襲い掛かってきた」ようにフリック監督の目には映ったということだろう。
なお、大衆紙のビルトは日本が決めた4点目のゴールについて、皮肉たっぷりにこう記している。
「デュッセルドルフ所属の田中碧が4-1とするゴールを決めたことで、ドイツ代表の屈辱的な敗北を完璧なものにした」
結局、彼らはカタールW杯と同じように後半の日本に苦しめられた。しかも、守備を修正した日本に後半だけで2ゴールを許した、というところまで同じだった。
前半の戦いぶりはW杯とは大きく異なるものだったが、先のW杯でキミッヒが苦戦した要因として挙げた後半になってからの5バックへの変更は、彼らにとってはもはや「悪夢」でしかなかったのだろう。
キミッヒ「僕たちは『自信』を欠いていたんだ」
なお、キッカー誌はこの試合のマン・オブ・ザ・マッチに伊東純也を選んでおり、その理由として「悪夢」という言葉を使っていた。
「(左サイドバックとして伊東と対面した)シュロッターベックは、伊東があのような仕事をした試合の後、『悪夢』にうなされたことだろう」(*シュロッターベックはキッカー誌とビルト紙の双方から最低評価となる「6」点をつけられた)
ただ、何より大きな差として存在したのは、キミッヒが口にした“あるもの”だったのかもしれない。
「日本はさらに追加点を奪うだけのチャンスをつかんでいた。一方、僕たちは自分たちの持つクオリティーをピッチで表現できなかった。僕たちは『自信』を欠いていたんだ」
試合後はもちろんだが、試合前から、「ドイツ代表に勝てる」という『自信』を日本の選手たちが口々に語っていたのとはあまりに対照的だった。