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「イトウは時としてメッシ」日本通ブラジル人記者に話を聞いたら大興奮「全く臆することなく…」ドイツ惨敗は「怨念の祟りだ」皮肉報道も
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/09/12 11:02
伊東純也は先制ゴールを導き出すなどドイツ戦で大活躍。日本通のブラジル人記者も絶賛だ
伊東については「時としてメッシのようなプレーをする。ドイツ守備陣を切り裂いて先制ゴールをあげ、2点目をアシストした」としてマン・オブ・ザ・マッチに選んだ。
冨安についても、「再三、ドイツ選手からボールを奪い取り、見事なカバーリングを行ない、なおかつ1点目と2点目につながるパスを送った。日本ナンバーワンのCB」と称えた。
また、後半途中から出場して2得点に絡んだ久保建英については、「ジュンヤ・イトウに代わって最後の15分間ピッチに立っただけだが、素晴らしく効率の良いプレーで3点目と4点目をアシスト。日本の大勝を決定づけた」として7.0を与えた。
その一方で、左SB伊藤洋輝にはチーム最低の5.0という厳しい評価。「レロイ・サネとの1対1で負け続けた。攻撃に参加する意欲も希薄で、ミトマ(三笘薫)との連係も良くなかった」と苦言を呈した。
「ブラジルの怨念の祟りなのかもしれない」
森保一監督については「4-2-3-1と5-4-1のシステムを使い分け、ほぼ完璧な試合をやってのけた。敵地でドイツ代表に大勝するのは大変な偉業だ」と称賛を惜しまず、9点を与えた。
総合情報サイトUOLは「7失点ではなかったが、日本がドイツに4-1と大勝」の見出し。2014年W杯準決勝でブラジルが喫した1-7のスコアを大いに意識していた。「2014年W杯で優勝して以来、ドイツは全く碌なことがない。ブラジルの怨念の祟りなのかもしれない」とここぞとばかりにドイツを皮肉った。
フットボールサイト「トリヴェラ」は、「日本がまたしてもドイツを倒し、(昨年のW杯以降、不調が続く)ドイツをさらに窮地に陥れた」と伝えた。
「グローボ・エスポルチ」の長文の記事でこの試合を詳しく報じたチアゴ・ボンテンポ記者は、日本のフットボールに関する記事や情報を日常的に報じるブラジルメディアきっての日本通だ。子供の頃から日本文化に興味を持ち、日本語を学び、おそらくブラジル人メディアで唯一人、日本語で直接、日本のフットボール情報を得ている。「青きサムライ―日本のフットボールの歴史」という500ページに及ぶ力作もある。
対戦成績で勝ち越したのは、画期的なこと
――試合前のスコア予想は?
「敵地でもあり、引き分けを予想していた。日本が勝利を収めたこと、しかも試合を通じてドイツを圧倒し、大勝したことは嬉しい驚きだった」
――ブラジル人は、W杯で優勝したことがある国だけを強豪とみなす傾向がありますね。「史上初めて、W杯優勝経験国に対戦成績で上回った」という指摘は、我々日本人にはなかなかない視点です。