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阪神戦3連敗で事実上終戦「またここで野球ができるように頑張ります」新井カープがCS下剋上のために準備すべきこと
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/12 11:00
阪神に2連敗で迎えた9月10日のゲームで、先発の九里は8回に打たれ3連敗の敗戦投手となった
CS進出を争うDeNAと巨人にはファーストステージを見据え、2位を死守するために負けられない。8月12日時点でDeNAとは本拠地マツダスタジアムで1試合、巨人とは東京ドームで1試合を残している。
今季、16勝8敗と4年ぶりに勝ち越した巨人にはホームで9勝3敗、今季14勝9敗のDeNAに対してもホームで7勝4敗1分けと地の利は大きく、2位球団に与えられるアドバンテージは広島にとって大きな意味を持つ。
レギュラーシーズンはあと14試合しか残っていない。広島のCS進出は5年ぶりで、ファーストステージからの出場は9年ぶりとなる。DeNA、巨人ともに強力打線を擁し、今永昇太やトレバー・バウアー、東克樹、戸郷翔征、菅野智之、山﨑伊織といった好投手を攻略しなければならない。
阪神との残り4試合をどう生かすべきか
10年ぶりのファーストステージ突破となれば、ファイナルステージで阪神と再戦できる。下剋上での日本シリーズ出場となれば、球団史上初。そこに向けた新たな戦いはすでに始まっている。
今季広島はセ・リーグで唯一、阪神に負け越しており、特に甲子園では2勝7敗1分けと分が悪い。さらに投手陣にはいいように抑え込まれている。阪神先発陣の数字を挙げれば、村上頌樹が3戦1勝2敗で防御率2.53、大竹耕太郎は6戦5敗で防御率0.64、伊藤将司は2戦2敗で防御率1.17となる。これらを受けて、15日からの本拠地マツダスタジアムでの2連戦を含め、まだ4試合残す直接対決で、彼らをどう攻略するかが重要となる。
再調整する西川と菊池の復帰とともに、広島打線が苦手とする村上、大竹、伊藤に対して打率3割超の上本崇司の復帰も待たれる。粘り強い打撃に加え、複数ポジションを守れるユーティリティー性は、首脳陣の選択肢を広げてくれる存在となるだろう。
また、投手陣も9月に入りベンチ外をたびたび繰り返す栗林良吏にとっても、二軍で調整中のニック・ターリーにとっても、CSまでの猶予はプラス。今季24セーブの矢崎拓也が開幕時にいなかったことを考えると、初めて全戦力がそろうCSで、新井広島の真価が問われる。
長丁場のペナントレースとは違い、CSは勢いづけば一気に駆け上がることができる。CSファーストステージまで約1カ月。手負いの広島が傷を癒やし、短期決戦を勝ち抜くチームとしてCSに向けた最適解を探るための、残された時間は限られている。