炎の一筆入魂BACK NUMBER
阪神戦3連敗で事実上終戦「またここで野球ができるように頑張ります」新井カープがCS下剋上のために準備すべきこと
posted2023/09/12 11:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
JIJI PRESS
傷だらけのチームが最後に力を振り絞って立ち向かったが、頂点へのラストスパートをかけた猛虎にのみ込まれた。広島が逆転優勝の望みをつなげるためには3連勝しか許されなかった9月8日からの首位阪神との3連戦は、勝機を見出すこともできずに3連敗に終わった。
3連戦初戦、西川龍馬と秋山翔吾が8月11日の中日戦以来、スターティングメンバーにそろって名を連ねた。西川は2日の試合中に右脇腹の張りを訴えて4試合ベンチから外れ、秋山は右ふくらはぎ痛で8月12日に出場選手登録を抹消。6日に実戦復帰したばかりだった。
左太もも裏を痛めて離脱中の上本崇司の復帰が遅れ、攻守の要である菊池涼介も5日のDeNA戦で痛めた右手親指の痛みが引かず、翌6日から先発を外れていた。打線に柱を欠くだけでなく、代打を含めたベンチワークを含めた総合力を上げるためにも彼らの力が必要だった。
5年ぶりのAクラス入りへの戦い
だが、結果的に勝負手は空転した。2人で2試合、15打数無安打。2試合で2得点に終わったチームを象徴するようだった。
そして迎えた3戦目は、2人同時にスタメンから外れ、チームも敗れた。甲子園最終戦となった10日の試合後、新井貴浩監督はこう話したという。
「自分も悔しいし、選手も悔しいと思うし、“またここで”野球ができるように頑張ります」
“またここで”が意味するところは、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージだ。優勝を目指して戦った新井広島の戦いは、静かに終わりを告げた。
この3戦目から、チームのウエイトは明確にCSへと傾いた。この日、ベンチ外となった西川は、菊池とともに11日に出場選手登録を抹消された。
第一目標を達成できなかったとはいえ、下馬評を覆す戦いぶりで5年ぶりAクラス入りが見えている。16年ぶりにAクラス入りしてCSに初出場した2013年が、3年後からの3連覇への大きな1歩となったように、4年連続Bクラスの広島にとってCS出場は来季以降につながる財産となるはずだ。