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「400g体重超過」でRIZIN王座剥奪…クレベル・コイケの減量失敗はなぜ起きた?「足の毛も剃って、髪も切ってやろうと思ったけど…」

posted2023/07/01 17:00

 
「400g体重超過」でRIZIN王座剥奪…クレベル・コイケの減量失敗はなぜ起きた?「足の毛も剃って、髪も切ってやろうと思ったけど…」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

6月24日、『RIZIN.43』の鈴木千裕戦後にリング上で跪くクレベル・コイケ。体重超過による王座剥奪に何を思っていたのだろうか

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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RIZIN FF Susumu Nagao

 わずか400gで、人生は大きく狂う。

 6月24日に真駒内セキスイハイムアイスアリーナで行われた『RIZIN.43』。北海道初上陸、大会直前に会場付近に熊が出没したことでも話題を呼んだ同大会のメインイベントであるRIZINフェザー級(66.0kg)タイトルマッチで、その悲哀を目の当たりにした。

 前日計量で、王者クレベル・コイケが400gオーバーというまさかの事態に陥ったのだ。規定によりその時点で王座は剥奪され、挑戦者の鈴木千裕が勝ったときのみ王者として認定されるという認定戦に変更された。仮にクレベルが勝つか引き分けたとしても、公式記録では無効試合として扱われ、王座は空位となる。

計量失敗で王座剥奪…クレベルは両手で顔を覆った

 計量は選手の調子を推測する格好のバロメーターとなる。決戦前日や前々日に肌がカサカサだったり、顔色が悪かったりすれば、減量がうまくいっていない証拠だ。反対に肌にうっすらと脂が乗っていたり、頬はこけていても全身から闘争本能が湧き出るようなオーラを発散していたら、成功していると見なすことができる。

 以前、筆者は現役時代の魔裟斗から「肌の色艶を見たら、その選手の調子は一発でわかりますよ」と教えられ、以来計量に立ち合う時や映像でチェックする時は、選手の発言よりも肌の色艶を気にするようになった。案の定、計量時に肌がカサカサの選手の勝率は極めて低いということが判明した。実力が伯仲していればいるほど、体調のちょっとした変化は勝負に直結する。

 振り返ってみれば、大会前々日の出場選手インタビューに登場した時も、クレベルの顔色はすぐれなかった。そして大会前日、札幌市内で行われた公開計量。クレベルに覇気は感じられなかった。無理もない。先に行われた本計量でリミットの14時までに66kgまで落とすことができず、その時点で失格になっていたのだから。

 体重計に乗ったクレベルのウェイトを立ち会いのレフェリーが66.4kgと告げ、さらに400gオーバーをつけ加えると、集まったファンからどよめきが起こった。そのタイミングでRIZINの榊原信行CEOが壇上に現れると、クレベルは天を仰ぎ、両手で顔を覆った。まるで死刑宣告を受けることを予期した被告のように。案の定、榊原CEOはクレベルのフェザー級王座剥奪を宣告した。

「本当に厳しい世界、それが格闘技の世界なので。契約体重を守るために、あと400gでしたが、その400gが落とせなかった。この400gでベルトを失います」

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