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なでしこW杯8強を支えた熊谷紗希32歳の素顔「一度会えばみんな友達」若手が慕い、安藤梢先輩にも愛される“超コミュ力”「コズエ!って」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2023/08/25 17:03
2011年W杯で世界一を経験し、欧州リーグでの経験も豊富な熊谷紗希(32歳)。明るい性格で、若い選手たちの声に耳を傾けた
――一方で、若い力の台頭を感じさせる大会でした。
安藤 そうですね。悔しさを感じさせてくれましたし、本当に日本が優勝できるんじゃないかと思わせてくれました。本当にもうひとつ、スウェーデン戦でもし勝っていたらもう一段階、グッと成長して、(その後の準決勝、決勝と)どんなサッカーを見せてくれていたかな、と期待させてくれる大会でした。10月からパリ五輪予選(アジア2次予選)もありますし、リベンジしてくれるのではという期待が大きいです。
――振り返れば2016年にリオ五輪予選で敗れ、2019年のW杯フランス大会も16強止まり。予選なしで臨んだ東京五輪も振るわず停滞感が否めなかった近年のなでしこジャパンですが、ようやく上昇気流に乗れるのかもしれない、という印象です。
安藤 はい、やはりリオ五輪、東京五輪の2大会では世界からやや遅れを感じました。でも、今はこれからに期待ができそうですよね。中継で見ている限り雰囲気もすごく良かったです。チームワークがとても良かったことが見ていても伝わってくるし、選手たちのコメントを聞いていてもこのチームは最高で、このチームでもっと上に行きたかったという思いをみんなが持っているのが伝わってくるんですよね。選手個々でそれぞれの立場はありますが、同じ方向にベクトルを向けて全員がチームのために闘っているチーム力が、私たちに感動を与えてくれていたんだと思います。
10月にはパリ五輪予選…今後の課題は?
――安藤さんから見た、パリ五輪予選に向けた課題などはありますか?
安藤 球際で“奪う”という言葉をテーマに掲げていたと思いますけど、強度がもう一つ上がった時に、例えば今回のベスト8になったときにも”奪う“を表現する、奪い切るみたいなことかなと思いますね。
――安藤さん自身がドイツでプレーしていた頃から球際の大切さを口にしていますね。
安藤 球際の強さは、今大会で決勝に進出したスペインやイングランドを見ても、やはり大事だということが分かると思います。球際で勝つか負けるか、ちょっと負けることで状況は一気に変わってしまうんです。1対1、個のところはもっともっと力を上げていけるのかなと思います。
あとは、やはりシュートを決め切ることですね。決定力は磨けると思います。劣勢な展開でも、個で打開してシュートに持っていけると流れが一気にきたり。また、セットプレーもすごく重要だと思います。2011年の時も、強豪国の攻撃に対して身体を張って守って守って、セットプレーからゴールを奪うという形も1つの強みでした。
――今大会では5試合で3失点と守備陣の安定が光っていたと思います。世代交代も著しいチームで、守備の軸であり主将としてチームのまとめ役だった熊谷紗希選手について、お聞きしたいです。安藤さんはかなり以前から彼女とはプレーしていますよね?