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なでしこW杯8強を支えた熊谷紗希32歳の素顔「一度会えばみんな友達」若手が慕い、安藤梢先輩にも愛される“超コミュ力”「コズエ!って」
posted2023/08/25 17:03
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Getty Images
サッカー女子W杯オーストラリア・ニュージーランド大会は、スペインがイングランドを下して初優勝を飾り、幕を下ろした。日本が1次リーグで下しているスペインの優勝には悔しさが募るばかりだが、5得点を挙げた宮澤ひなたが2011年大会の澤穂希以来となるゴールデンブーツ(得点王)を獲得するなど、ここ数年感じられた日本女子サッカーの停滞感を払拭する大会にもなった。
12年前の世界一を経験し、41歳となった今も現役でプレーする安藤梢(三菱重工浦和レッズレディース)に後輩たちの戦いぶりを振り返ってもらった。今大会で主将・守備の要としてチームを牽引した熊谷紗希についても知られざるエピソードも明かした。
「フィジカルで負けていた」「その差は大きい」
――まず、なでしこジャパンについて振り返りたいです。準々決勝のスウェーデン戦に敗れました。
安藤 本当にもう一つ上のステージに行けると思っていました。優勝の期待もしていたので私自身も悔しかったです。でも同時に、やはりスウェーデンは強かったですね。あの試合(ベスト8)から、強度が一気に上がりました。そこからの試合で勝ち切るには、なにか必要なことがあったのかなと思いますし、選手たちも感じとったのではないかと思います。
――個の能力差というより相手にうまく戦われてしまい敗れたような印象を受けました?
安藤 いえ、私はやはりまずフィジカルで負けていたかなと思っています。球際で取り切きれていなかったですよね。それまでの試合では取り切れていたところが、スウェーデン戦のようなガツンとした1対1になった時に勝てなくなった。スウェーデンは中盤の選手が強く、しっかりしているなと思いました。
――確かに、それまでの試合では1対1で取れなくても、遅らせる、人数をかけて取るということもできていましたが、この試合ではそれも厳しかったです。
安藤 スウェーデンは本当に良いチームで、フィジカルも強く技術も高く、さらに戦術的にも長けていましたよね。それまでの4試合では日本のほうが戦術的に上でもあり、相手のウィークポイントを突き、良さを出させないということができていた。でもそれをこの試合ではスウェーデンにやられてしまいましたね。
スウェーデンはしっかり前線からの守備でハードワークしてきて、日本がやりたいことをしてきました。また、日本のサッカーが研究されているとも思いました。つまり、日本の良さを出させないためのハードワークだったと思います。なので、立ち上がりは押されてしまい、前半は難しくなってしまいましたね。セットプレーやこぼれ球の争いといったところで、相手の強度が強くなった時に敵わなかった。惜しいように見えますけど、若い選手たちにとっては経験したことのない強度だったと思います。私も(経験したことがない強度に初めて対峙した)その感覚はすごく分かりますし、その差はとても大きいんですよね。