世界も恐れる“なでしこジャパン”何がスゴい？ 41歳安藤梢が後輩たちの躍進を解説…決勝Tのキーマンは「シェフの西さん」なぜ？

――2連勝して迎えたスペイン戦でしたが、4−0と快勝でした。まず、安藤さんはどのような予測を立ててご覧になっていましたか？

安藤　やはりスペインは強豪国ですし、今回の優勝候補の一つと言ってもおかしくないチームだと考えていました。親善試合でアメリカに勝っていましたし、勝って欲しいけど引き分けも覚悟していたくらいでした。だから、こんな快勝をするとは思っていなかったです。

――こんなにすごい3連勝、見たことがない気がします。

安藤　ほんとすごいです。何より3戦無失点ですから、素晴らしいですね。

グループリーグ3連勝で決勝トーナメント進出を決めたなでしこジャパン　©︎Getty Images

すべての写真を見る（77枚）

キャプテン熊谷の存在「若手も意見を言える」

――3試合合計11得点と好調の攻撃陣に注目が集まりますが、その3戦無失点の守備についてどう見ていますか？

安藤　日本がやってきている前線からのハードワークをしっかりして、（ボールを）奪って攻撃っていう前線からの守備をチームとしてしっかりできているんですけど、それを対戦相手によって少し変えているところがすごさです。相手の強みを消すような守備に変えるなど、試合の中でもキャプテンの熊谷（紗希）選手が中心になって選手たちに声を掛け合っていますよね。（ボールを）奪いに行くところ、行かないところを選手同士でもコミュニケーションをとっている様子が見て取れますね。

――スペイン戦でも、奪ってから速い攻撃が得点にもつながりました。

安藤　初戦のザンビア戦では相手に足の速い選手がいたのでそれを警戒してボランチの選手はちょっと深く位置をとって、相手が蹴ったボールをセンターバックとボランチで対応する形でした。一方、スペインの選手はボールを動かせるし技術も高い。だから相手にボールを持たれることもちょっと割り切って、相手を引き込んでから奪ってそこから速攻ということができていましたよね。そんな対応力を見て「ああ、強いな」と思いました。

――そのあたりの臨機応変さはどうやって生まれるのでしょう？

安藤　一つはチームとして相手をしっかりスカウティングして練習にも落とし込んで、共通理解している面がすごくあると思います。そして、もう一つは選手たちが常に声を掛け合っているということですよね。試合を見ていても、熊谷選手を中心に90分間、ずっと声が聞こえてきていました。選手同士でもポジション間でコミュニケーションが取れている。ちょっと選手が怪我したりとかしたタイミングでさっと集まって話し合っていたりしましたよね。そういうところだと思います。

キャプテンとして牽引するDF熊谷紗希。現代表では、12年前の世界一を経験している唯一の選手だ　©︎Getty Images

――若い選手が多い中でやっぱり熊谷選手のようなベテランがいると安心する側面はあったりするのですか。

安藤　そうですね。リーダーシップをとってくれる選手がいるとチームはまとまりやすいし、安心するところはあると思います。熊谷選手の良さって若い選手ともすごくフランクに話ができるところなんですよね。だから、若い選手も積極的に意見が言えたり、コミュニケーションを取れたりしているのかなと。

【次ページ】　支配率23％で圧勝「気候も味方している」