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5-0快勝なでしこジャパン「雰囲気がとても良い。ピッチに立ちたくなった」“41歳でMVP”安藤梢が語る“12年ぶりの世界一”の可能性は?
posted2023/07/25 17:01
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Getty Images
7月22日、FIFA女子ワールドカップで初戦を迎えたなでしこジャパンはザンビアに5-0と快勝し、好スタートを切った。彼女たちの戦いぶりを中継の解説を担当した安藤梢(三菱重工浦和レッズレディース)に振り返ってもらった。
2011年W杯ドイツ大会でアタッカーとして世界一に貢献した安藤は、現在はセンターバックでプレー。41歳ながら2022-23シーズンのWEリーグMVPを獲得し、年齢はただの数字であると標榜し、体現している。多くの現代表選手たちと対戦する、もしくはチームメイトとして共に戦うレジェンドに今後の展望を訊いた。
◇◇◇
――なでしこジャパンが好スタートを切りました。あそこまでの快勝、想定内だったのでしょうか?
安藤 私の予想ではあそこまで大勝できるとは思わなかったです。ザンビアは、世界ランクこそ77位とそんなに高くないですが、事前の親善試合でドイツを倒し、スイスとも引き分けた。今大会のダークホースとして手ごわい相手だと認識していました。強烈なフォワード(バーブラ・バンダ)がいるので1失点は仕方がないと覚悟しながらも、早い時間帯で日本が得点できたらいいなと思っていました。内容がどうこうよりも、勝ち点3がとれたら十分だと。
チームとしての狙いが明確だった
――ゴールネットを揺らすもVARでオフサイド判定となるなど、前半は日本がペースを握りながらゴールを決められない時間帯が続きました。
安藤 そうですね。ただ、前半の終了間際に先制できたことで、みんなが安心できたのではないかと。あの1点があったから、落ち着いてハーフタイムに入れたと思います。
ザンビアは前半を見ていてもサイドの裏のスペースが空いていて、ディフェンスの選手たちがボールウォッチャーになっていました。バラバラと最終ラインを上げるので、(日本からすれば)2列目からの飛び出しがチャンスだとわかりました。おそらく、ハーフタイムの時間にチームとしてそこを狙っていこうと全員で整理できたのでしょう。後半は確実にそこを狙うシーンが増えたので。
――そういった「相手の弱点」「攻めどころ」はピッチに立っている選手はどの程度気づくものなのですか?
安藤 ピッチにいる選手たちは、“穴”は感じていると思いますが、それぞれ個人で考えるのではなくて、しっかりチームとしてコミュニケーションをとってそこを狙っていこうと意思統一させる作業はやっぱり必要。そこがおそらくそこがうまくいったんだろうなと思います。
――攻めあぐねている時間帯も、選手たちが落ち着いているのが印象的でした。
安藤 私もそう思いました。やっぱりユース年代から国際大会を経験してきたことは大きいですよね。私のときはユース代表の国際試合はなかったんです(U-19女子世界選手権=現U-20W杯が始まった2002年当時、安藤は21歳で出場できず)。大学生のときにユニバーシアードに出場しましたが、その前にすでに日本代表の試合に出てはいました。今の若い選手は、年代ごとに世界との戦いを積み重ねてきている。その差はあるのかなと思います。