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なでしこW杯8強を支えた熊谷紗希32歳の素顔「一度会えばみんな友達」若手が慕い、安藤梢先輩にも愛される“超コミュ力”「コズエ!って」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2023/08/25 17:03
2011年W杯で世界一を経験し、欧州リーグでの経験も豊富な熊谷紗希(32歳)。明るい性格で、若い選手たちの声に耳を傾けた
安藤 彼女のことは高校2年生頃(2008年3月の代表合宿に2人はともに招集されている)から知っているんですよね。なので、その成長ぶりといったらもう……。海外で多くを経験してここまで成長して、それを世界の舞台で表現してチームを引っ張っている姿を見られたことが嬉しかったです。今大会でも、やられた!と思ってもその後ろには紗希がいて本当に頼もしかったです。
――当時はどのような選手でした?
安藤 まず、あれだけ大きくて(身長173cm)手足の長いセンターバックは当時いなかったんですよね。(浦和に加入と同時に進学した)筑波大学ではやり投げの授業かなにかで、すごく飛ばすのでやり投げの先生からスカウトされていました(笑)。
――それは、驚きです。
安藤 あと、意外と気づかれていないですけど、紗希のパスから得点という形が結構あるんですよ。スペイン戦の先制点は紗希のフィードが左サイドの遠藤純選手に渡って、宮澤ひなた選手がGKと1対1になって決めるという形でした。日常的に世界で戦っているだけあって、低くて速い一個飛ばしたパスが出せたりするんですよね。そういうプレーを当たり前にできるというのはすごいことだなと。また、若いときから物怖じしない性格だったのは大きいと思います。
“世界”で信頼を勝ち取ってきた
――フランクフルトを皮切りに欧州でのキャリアをスタートさせ、リヨンという強豪であれだけ長く(2013-14シーズンからから2020-21シーズンまで8季在籍。フランスリーグ7連覇、CL優勝5回)信頼されてきた彼女の凄さって、そういうところなのでしょうか?
安藤 物怖じしないですし、すごくポジティブです。海外の本当のトップレベルでやっていくのは、想像できないようなプレッシャーがあると思うんですよ。その中でポジションを奪っていくだけでも大変な中で何年もやってきた。あと、彼女は素直というか、吸収力があるんですよね。求められていることを表現できて、チームに今何が必要なのかの理解力もあります。そういった面からも、信頼を得ていたのではないかなと思います。
――2019-20シーズンのCL決勝で得点したのには、もう感服でした。
安藤 そうですよね。あのとき無回転シュートみたいなのを決めていましたよね。