「三笘が最初にパスを受けた際、ゴールまでの距離はかなりあった。距離にして約35～40メートル。マークについていたセメドのポジショニングも悪くなかった。だがセメドをかわしたところで、三笘にはゴールまでの道筋が見えたのだろう。その冷静さ、判断が素晴らしい。

　プレミアリーグの試合は、目が回るほど試合展開が速い。体を感覚的に、素早く動かし続けなければいけない。同時に、頭の中は冷静さを保ち続ける必要がある。どこにチャンスがあり、どんなプレーが適切なのか。あの得点場面で、三笘の判断はすべて正しかった。もし迷いがあれば、あのようなゴールは絶対に生まれない。彼自身、自信を相当深めているからこそ、あの見事なゴールが生まれたのだろう」

「あのマラドーナの5人抜きゴールに似ていた」

　英メディアやSNSでは、三笘のゴールをディエゴ・マラドーナやリオネル・メッシになぞらえる声が少なくない。ノースクロフト記者は「マラドーナのゴールに似ていた」と語り、その理由を次のように話した。

三笘薫の衝撃ゴール【5枚目／全5枚】。ブライトンのフィールドプレーヤー全員で三笘を祝福　©Getty Images

「ここで“マラドーナ級”、“メッシ級”と騒ぐつもりはないが、私の中では86年W杯メキシコ大会・アルゼンチン対イングランド戦におけるマラドーナのゴールを彷彿とさせた。言わずとしれた、あの5人抜きのゴールだ。

　もちろんマラドーナの得点は、5選手を抜き去るという離れ業だった。センターライン手前の自陣から相手を次々とかわしていったところも、三笘のそれとは大きく異なる。

　ただセメドを抜いた後に見せた三笘のリズムの良さ、体を少し開いてから打ったシュートなど、マラドーナのゴールに通じるところがあった。ドリブルを加速していった三笘の走りに、私は美しささえ覚えた。

　個人技でゴールを奪った点も見逃せない。何も生まれなそうな場所、つまり“ゼロ”からゴールをこじ開けたのだ。私の予想では、今季の年間ベストゴール候補に入るだろう。それほどまでに凄まじいゴールだった」

三笘が最後に…「1試合で評価が変わるのがこの世界」

　ノースクロフト記者の言葉通り、今の三笘は周囲の状況が非常によく見えている。後半1分のアシスト場面では、自らシュートを打つ選択肢もあったが、あえてペルビス・エストゥピニャンにラストパスを出した。落ち着いて状況判断ができているのは、本人の言葉からもうかがえる。

【次ページ】　三笘が最後に…「1試合で評価が変わるのがこの世界」