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「これで3回目です」リバプール電撃移籍・遠藤航30歳がベルマーレと代表で噛みしめた“挫折の味”「なさそうであるんです、そういう経験が」
posted2023/08/25 17:04
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
最適解を追いかけてきた男が、求めてきた舞台に辿り着いた。
シュツットガルトでプレシーズンを過ごしてきた遠藤航が、プレミアリーグ開幕直後にリバプールへ電撃移籍したのである。
8年前に語っていた理想「プレミアは小さい頃から…」
ブンデスリーガ経由でのプレミアリーグ入りは、長く思い描いてきたキャリアデザインだった。湘南ベルマーレに所属していた2015年9月に、遠藤はこう話している。
「日本人は色々なポジションを器用にこなせるイメージが、ドイツにはあるのかもしれない。自分が海外へ行くなら、ドイツは行きたいですね。ドイツ経由でプレミアとかまで行ければ、自分としては理想だし……。プレミアは小さい頃から好きだったので、プレーしてみたいですね」
すでにふたりの子どもを持つ父親だった。「テレビで何を観るのかは子どもに権利があるので、サッカーを観たいタイミングで観られないこともあるんです」と苦笑いを浮かべ、「移動の時とかに観るようにしています。最近はブンデスリーガが多いですね」と瞳を輝かせていた。
アンダーカテゴリーから日の丸を背負って戦い、高校3年時にJリーグデビューを飾っている。海外志向や上昇志向を育みやすい環境だったに違いないが、遠藤は“いますぐにでも”といったような焦りを感じさせなかった。
「海外に早く行きたいというのはもちろんあるんですけど、冷静に考えると来年(16年)のリオ五輪が終わったあとに行ければいいのかなと思う。そのタイミングが自分のなかではベストかな、というイメージは持っています。リオ五輪が終わったあとの次(17年)の夏とか。冬の移籍はシーズン中だから難しいので、夏となると16年というよりは17年になるのかなと。まだリオ五輪の出場が決まったわけでないので、まずは出場権を取らなきゃいけないですけど、リオでしっかり活躍していいプレーができれば、その先が見えてくるのかなと」
リオ五輪後の海外移籍をひとつの目標としながらも、国内でしっかりと地力を蓄えていった。15年12月にベルマーレから浦和レッズへ移籍すると、18年夏まで赤いユニフォームを身にまとった。
「理想は五輪後というか、そういうイメージはしてますけど、18年のロシアW杯に向けて努力していって、そのあととかでも悪くはないと思いますし。移籍にはタイミングというのもありますし、そこは難しいところなので」