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「四国の高校野球は弱くなった」は本当か? 明徳義塾・馬淵史郎監督にズバリ直撃…“全国最下位”のチーム数・高知の驚くべき甲子園勝率
posted2023/08/18 11:00
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Nanae Suzuki
――最近、甲子園では、四国の野球が勝てなくなってきたと言われていますが。
馬淵 よその県の人にそう言われるけど、じゃあ、勝率みてみぃ、って。そら、昔ほどじゃないかもしれませんけど、ここ10年みたって、そこまで落ちてはいないと思いますよ。
――今、選抜大会(春)の勝率は高知が4位で、選手権(夏)の勝率は愛媛が2位なんですよね。
馬淵 僕が小さい頃は、夏は愛媛が圧倒的に強かった。ダントツ。そして春は高知。それもダントツでしたよ。昔の貯金もありますけど、2016年の選抜で高松商業(香川)が準優勝したりしてるでしょう。僕は四国のレベルは、今もそんなに低くないと思ってますよ。
全国最下位の参加チーム数も…なぜ強い?
――各地域の代表校のレベルは、だいたい出場チーム数に比例するものなんですよね。つまり、愛知、神奈川、大阪など、激戦区ほど強い。そこへ行くと、四国は例外なんですよ。今年の参加数で行くと高知は23チームで鳥取と並んで最下位。徳島県は29チームで下から3番目。香川県は38チームで40位。愛媛は少し多くて50チームで30位です。にもかかわらず、これだけの強さを維持しているのは、やはりすごいですよね。
馬淵 高知もベスト4以上のチームは十分、全国に通用するレベルやと思いますよ。ただ、体はちっこいね。明徳なんて、いつも、ちびっこ軍団やもん。僕はあんまりウエイトトレーニングが好きじゃないんですよ。冬場は上半身と下半身と1日置きでウエイトトレーニングをやったりもしていますけど、シーズンに入ったら雨の日とかじゃないとやらない。やっぱり野球は技術よ。なんぼ根性があっても、なんぼ筋力があっても、技術がなかったら勝てません。バットを振る力、ボールを投げる力は、技術を習得する中で自然とつけていくもんやと思っているんですよ。
――年々、甲子園では打てなければ勝てない、というような言い方がされるようになってきましたが。
馬淵 それは事実やね。ひと昔前までは選抜は投手力や言うとったけど、春もやっぱり打てなきゃ勝てない。
――昔の明徳は打てても守れない選手は絶対に使わないというイメージがありましたよね。