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世界も恐れる“なでしこジャパン”何がスゴい? 41歳安藤梢が後輩たちの躍進を解説…決勝Tのキーマンは「シェフの西さん」なぜ?
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2023/08/04 11:07
試合後、スペイン代表MFボンマティ(左)とユニフォーム交換した長谷川唯。NHKで解説を担当した安藤は、日本を讃えるスペインの選手たちの姿を喜んだ
――スペイン戦では相手が約7割(支配率23%)もポゼッションしていました。日本の選手はよく「相手がサッカーをしてくれる方がラク」という言い方をしますが、さほど慌てることはないのでしょうか?
安藤 しっかりブロックを作って守る、最後のところは強く行く、とチームとしてやることがはっきりしていたので、ピッチの中で慌てることはなかったと思います。ただ、そうは言っても、選手たちは相当疲れたと思います。普通であれば、ほころびが出てくるというか、あのプレーを90分間続けると疲れてちょっとスペースが空いちゃったりとかするものですけど、それがなかったですからね。
――映像で見る限り現地(ニュージーランド・ウェリントン)はすごく寒そうでした。そういった気候もそのようなプレーを可能にしているのかなとも思いました。
安藤 それもあるかもしれないですね。ニュージーランド対ノルウェーの開幕戦を見ましたけど、その試合でも90分間ハードワークをし続けていたので、気候的な側面もあるのかもしれません。それでも、選手たちみんなコンディションがとても良くしっかり走っているのは、良いトレーニングをしてしっかり戦う準備ができているからだと思います。
――さらに、今の代表選手たちはスペインとの経験が豊富な世代でもあるんですよね。
安藤 そうですね。ユース年代で戦ったことのある選手たちが相手にたくさんいるから(22年U-20W杯で日本はスペインに敗れている)、やっぱり負けたくないという思いは強かったと思います。
――ザンビア、コスタリカに比べてスペインは強くFIFAランクも高いので、真価が問われる試合になると思っていましたが、あらためて完勝でした。
安藤 でも、私は試合が始まってすぐスペインのプレーを見て『あ、強い』って思いましたよ。すぐ押し込まれたし、高い位置からのプレスで奪えなかった。日本がこの3戦で初めて自陣まで引くようなシーンが増えてやっぱり強いなと。ボールを取りに行ってもかわされるっていうのがありましたけど、我慢強く守ることに切り替えましたね。そこで攻めさせてできたスペースに速攻でスプリントしていくことができていたなと。
途中出場の選手も存在感を発揮
――メンバー的にもフィールドプレーヤーでは負傷中の浜野まいか選手以外全員が出場し、大会を経験した上で次に進むことができました。
安藤 3戦とも右のセンターバックが変わっていまして、相手の特徴に合わせて変化をつけられるんだなと思いました。あとは、スタメンの選手だけでなく、途中から出場した選手も、それぞれの持ち味が出る試合展開になっていて、選手たちが期待に応えている。いい流れだと思います。
――みんなが試合に出られるということは、チーム内競争も激しいと思うのですがそういう時のチームの雰囲気はどんな感じになるものですか?
安藤 ワールドカップになると、競争というよりはみんなそれぞれが良いものをお互い出し合おうみたいな感じですよね。そういう雰囲気にチームがなっていることがすごくわかるので、それで力を出せているのかなって思います。