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あのヒクソン・グレイシーがパーキンソン病に…“最強”に魅せられたカメラマンが明かす素顔と“会心の1枚”「朝起きるたびにこの写真を…」 

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長尾迪

長尾迪Susumu Nagao

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photograph bySusumu Nagao

posted2023/08/19 17:01

あのヒクソン・グレイシーがパーキンソン病に…“最強”に魅せられたカメラマンが明かす素顔と“会心の1枚”「朝起きるたびにこの写真を…」<Number Web> photograph by Susumu Nagao

1990年代の格闘技シーンを牽引したヒクソン・グレイシー。ヒクソン自身も「私の試合写真の中で間違いなくNo.1」と認める“会心の1枚”とは

◆2011年8月 リオデジャネイロにて

 プライベートでは自然の中にいることを愛するヒクソンだが、幼いころから慣れ親しんだリオ郊外のビーチにいる彼は格別に楽しそうだった。

「ナガオはフィッシングをやるのか。海は最高だよなぁ。海や山、自然から学ぶことはたくさんあるから」

 初めて彼をインタビューしたときのことを思い出した。将来の夢について質問すると、ヒクソンは「リオの郊外に牧場を持ち、牛や馬と一緒に自然の中で暮らしたい。そんな環境の中で、精神修行も続ける。自分を高めることは年齢に関係なくできるから」と答えた。当時から彼は確固たる自分の哲学を持っていた。

 ヒクソンとの付き合いは30年近くになるが、その考え方に共感するところも非常に多い。彼とは日本だけでなく、世界中の色々な場所で語り合った。いつも変わらないのは、シェイクハンドとハグ、そして最高の笑顔だ。そして別れるときには必ず、何度か肩を叩いてくれる。そこには「これからもお互い精一杯生きてゆこう」というメッセージが込められているようだった。私は何度もヒクソンの笑顔と力強さに救われ、勇気づけられた。

 どんなときも周りに活力を与えてくれるヒクソンだが、パーキンソン病を患う以前にも、大きな悲劇に直面したことがあった。言葉にしがたいほどの痛みを、彼はどう受け止めていたのか。後編では、「強さ」だけでは語れない人間ヒクソン・グレイシーの実像に迫っていきたい。

<後編に続く>

#2に続く
最愛の息子の死、そして難病…ヒクソン・グレイシーは過酷な運命をどう受け止めたのか? 旧知のカメラマンに届いた“あるメッセージ”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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