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「うーん、あまりにもひどい」9歳長男が突然ブラジル名門クラブから退団通告…それでも父が「うまく社会に入り込めている」と語るワケ
posted2023/11/25 17:03
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
IBER CUP
ブラジル在住の日本人柔道指導者・藤井裕子さんと夫・陽樹さんの長男・清竹君(9)は、フットボールのプロ選手を目指してアロウカという選手育成専門のフットサルクラブとリオの名門クラブであるボタフォゴのアカデミーに所属している。しかしそのプロセスの中ではブラジル特有の“アクシデント”にも遭遇したそうだ。
妻が柔道指導者として日々過ごす一方で、愛息はどんな形でフットボールに専心しているのか。陽樹さんに経緯を聞いた。
練習初日の前日になって突然「メンバーから外れた」
――清竹君のフットボール修行については、2年前にフラメンゴのU-7に入団したところまで記事で紹介させていただいています。その後に起きたことを教えていただけますか?
「2021年、フラメンゴのU-7でフットサルとフットボールの練習を始めました(注:ブラジルでプロ選手を目指す場合、5、6歳でフットサルを始めてまずは技術と状況判断力を磨き、10歳前後から徐々にフットボールの練習を取り入れ、13歳前後で完全にフットボールへ移行するのが理想とされている)。昨年はU-8で練習を積み、試合にも出場した。
そして今年、U-9へ昇格したはずだったのですが、2月の練習初日の前日になって突然、『今年のフットサルチームの所属メンバーから外れた。ただし、フットボールチームの所属メンバーには入っているので、引き続きそちらの練習には来てほしい』という連絡を受けたんです」
――それは、何とも唐突ですね。いかにもブラジルらしいドタバタというか……。
「ブラジルでは、この年代ではフットサルの練習の方がメインなのですが、フラメンゴで練習できないのであれば他のクラブを探さなければならない。裕子、本人とも相談したのですが、フットサルはかつて在籍していたアロウカという選手育成専門のクラブに復帰することにしました。
フットボールは、そのままフラメンゴで練習を続けることもできたわけですが、彼らのやり方があまりにも理不尽だったので、以前から誘いを受けていたボタフォゴ(注:フラメンゴ、フルミネンセ、バスコダガマと並ぶリオの4大クラブの一つ。ブラジルのフットボール史上最高の右ウイングと評されるガリンシャら名手を輩出しており、2020年には元日本代表MF本田圭佑が在籍した)のU-9に加わりました」
「うーん、あまりにもひどい」と記者も驚く対応とは
――ブラジルのアカデミーのシーズンは2、3月から12月まで。サンパウロでは、毎年末までに翌年の在籍メンバー(フットサルとフットボールの両方)を決め、退団する選手にはそのように通告するのが通例です。