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《交際0日で結婚》「私を支えてくれた夫は大偉業だと」ブラジル柔道コーチ藤井裕子さん41歳と夫の美しい信頼「育児に関われて幸福でした」
posted2023/11/25 17:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
JIJI PRESS
日本人柔道指導者の藤井裕子さん(41)は、現役引退後の語学留学を機にイギリス、ブラジルで指導者としてのキャリアを積み重ねてきた。現在5人家族だが、家事・育児などの日常生活と、どのように並行しているのか――引き続き幅広く聞いた。
“女子には男子トップ選手の指導はできない”を壊してくれ
――ブラジル男女代表技術コーチとして臨んだリオ五輪では、ラファエラ・シウバの女子57kg級の金メダル獲得に貢献しました。その後、ブラジル男子代表の監督に就任。ブラジルの柔道人口は約200万人で、世界最大です。五輪でもかなりの実績を残しています(金メダル4個、銀メダル3個、銅メダル17個を獲得。メダル数24個は世界5位タイ)。世界のメインスポーツで、強豪国の男子代表監督に若い女性が就任したとあって、「ジェンダーの壁を打ち破った」と世界的な反響を呼びました。
「私自身、ブラジルでは以前から男子も女子も指導していたので、選手の性別は一切気にしていなかった。もちろん、男子と女子とでは体格とパワーが違いますが、技術面に関してはほとんど同じ。ブラジル五輪委員会の会長から『女子には男子トップ選手の指導はできない、というパラダイム(ある時代に支配的な考え方)を壊してくれ』と言われて意気に感じました」
――開催が危ぶまれ、1年延期された東京五輪に、ブラジル男子代表監督として乗り込んだ。かつて自身が選手として戦った日本武道館で、ダニエル・カルグニンが銅メダルを獲得します。
「ブラジルは、パンデミックが最も猛威を振るった国の1つ。長期間、スポーツクラブが閉鎖されるなど、他国以上に大きな影響を受けました。
そのような厳しい状況で、何とかメダルを取れた。もっと良い結果を出したいと思っていたし、出せたはずだとは思います。それでも、持てる限りの力を注ぎ込みました」
ブラジル柔道連盟を離職した理由は…
――大会後は、男子代表のコーディネーターに就任しました。
「代表チームの強化プログラムの作成と実行に携わりました」
――今年5月、ブラジル柔道連盟(CBJ)を離職します。そのいきさつは?