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プロ野球スカウトが熱視線「オリックス紅林弘太郎以来の逸材かも…」“ほぼ無名だった”長野の高校生ショートがドラフト上位候補に急浮上
posted2023/07/11 17:28
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
NIKKAN SPORTS
教えてくださったのは、同じ県内のある強豪校の監督さんだった。
「長野でバッターっていったら、やっぱり上田西のショートがずば抜けてると思いますよ。この1年で体も野球も、別人みたいになってますから」
上田西高・横山聖哉遊撃手(3年・181cm82kg・右投左打)。
知ってしまったからには、「正体」を確かめないわけにはいかない。
北陸新幹線・上田駅から、しなの鉄道に乗り換えてひと駅。西上田駅から歩いて10分足らずの上田西高を訪ねたのは、6月半ばの曇り空の日だった。
放課後。体格のよいユニフォーム姿が、次々とグラウンドに現れる。
そのなかに、教わらなくてもわかる頭が小さくスポーティーなシルエット。見るからに動けそうな、均整のとれた体の線に、期待がふくらむ。
「(横山は)この1年半ぐらいで劇的に体が大きくなって、野球のスタイルも変わってきました。おそらく、入学してから、身長10cm、体重は10kg以上アップしているんじゃないですか」
吉崎琢朗監督も頼もしげに見つめている。
「来年のドラフト目玉候補」ぐらいしか思い出せない
アップでの軽やかなステップ、スムースな手足の連動……そんな「動けるメカニズム」が存分に発揮されたのが、直後のシートノック、シートバッティングでの守備ワークだ。
見て、驚いた。「強打の遊撃手」と聞いていたから、驚くのはバッティングのほうだとばかり思っていた。
181cmの遊撃手が、170cm台前半の動きができる。長めの手足を全く邪魔にしていない身のこなし。