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セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
80歳超えて茶髪に植毛、精力絶倫で“54歳年下妻”と…ミラン名物会長ベルルスコーニの剛腕人生「キャプテン翼」欧州大ヒットも仕掛け役?
posted2023/06/27 17:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
《私が死んだらどこへ行くか? う~ん、地獄だろうね。私を嫌う左派の御仁たちを喜ばせてあげよう。
さて、地獄に来てみたはいいが、まるでイタリアのように重税、行政、経済……問題が山積みだ。
よろしい、私にまかせなさい!》
救世主ベルルスコーニは、地獄のあらゆる問題をたった15日間できれいサッパリ解決してしまった。
《おや、頭上から私を呼ぶ声が聞こえてくるぞ。……「天国の問題も解決してくれ!」》
率いる政党「フォルツァ・イタリア」の集会で支持者は拍手喝采、本人もご満悦。自分の死後まで持ちネタにするとは流石、というしかない。
葬儀で「俺たちの会長はあなた一人だけだ!」
2023年6月12日、元イタリア共和国首相にしてメディア王だった元ミラン会長シルビオ・ベルルスコーニが、白血病による肺感染症で入院したのちに死去した。享年86だった。
2日後の14日午後、ミラノ大聖堂(通称ドゥオーモ)で執り行われたイタリア共和国国葬にはセルジョ・マッタレッラ大統領と現首相ジョルジャ・メローニを初めとする政界要人や財界VIPが大挙参列。広場周辺の人出は約1万5000人と報道された。
サッカー界からは、オーナーを務めていたモンツァのCEOアドリアーノ・ガッリアーニとラッファエレ・パッラディーノ監督以下、今季セリエA残留を決めたチーム全員が出席。また、スクデットを獲得したナポリのアウレリオ・デラウレンティース会長にインテルの張会長の姿も見られた。上から下まで、国中のサッカークラブが哀悼の意を表している。
とりわけ故人がオーナーとして31年間愛し続けたミランの参列者には殿堂クラスが軒並み顔を揃えた。フランコ・バレージ名誉副会長に前TDパオロ・マルディーニ、FIGC(伊サッカー連盟)技術委員長デメトリオ・アルベルティーニ、名将ファビオ・カペッロといった錚々たる顔ぶれに悲痛な表情が浮かぶ。
スクデットや欧州制覇を幾度も故人と祝った大聖堂前広場は、初夏の晴天に恵まれた。
カトリックの荘厳な葬儀は1時間ほどで終わり、出棺前の厳かな静寂を破ったのはミランのウルトラス連合だった。ロッソネロ(赤黒)のフラッグを振り「俺たちの会長はあなた一人だけだ!」というコールが青空へ消えていった。
ファンバステン、カカ、マルディーニらが…
イタリア国内の全サッカー関係者にとって、故ベルルスコーニの肩書はエレガントな耳ざわりの「プレジデンテ(=会長)」しかありえない。