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「日本戦より“ひどい試合”がある」ドイツ人ベテラン記者が振り返る、代表史上最悪&ベストゲーム「2014年優勝の時にメッシが…」<ドイツ代表1000試合>
posted2023/06/28 17:01
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
dpa/JIJI PRESS
2023年6月12日、ドイツ代表国際Aマッチ通算1000試合目となるメモリアルマッチがブレーメンで行われた。招待されたのはウクライナ代表。ファンはこれまでのドイツ代表に思いをはせたかもしれない。
1000試合で記憶に残るゲームを尋ねた
試合の数だけ思い出があって、試合に至るまでのプロセスがあって、試合が終わってからの余韻があったことだろう。
長らく代表を見守ってきた旧知のドイツ人ジャーナリストにどの試合が特にポジティブな、そしてネガティブな意味で記憶に深く残っているか、さらにその中でカタールW杯で日本代表に敗れた試合はどんな位置づけにあり、どんな意味合いを持っているのかを尋ねてみた。
3対3の引き分けで終わったウクライナ戦までの戦績は578勝208分214敗。ちなみに2023年6月20日時点で、日本代表の国際Aマッチ通算成績は756戦368勝159分229敗となっている。
ドイツはW杯で4度、欧州選手権では3度優勝を遂げているサッカー大国の一つ。長い歴史の中ではいくつもの伝説のマッチがある。第二次世界大戦の敗戦後、初めて参加した1954年W杯で、下馬評を覆して決勝まで進出し、ハンガリーとの決勝戦では0-2からの大逆転勝利で優勝という《ベルンの奇跡》はその代表格だろう。
2014年W杯優勝の瞬間
「1000回準備をして、1000回ドイツのために戦った。1000回応援をして、1000回一緒に熱狂した」
ウクライナ戦ではグラウンドを取り囲む広告ボードにそんな言葉が並べられていたが、アドレナリンが完全解放されるほど劇的な試合が、そして奈落の底に突き落とされたかのように失望した試合がきっとそれぞれにある。
ユルゲン・ベルグナーは公共放送ARDのテレビレポーターとして1990年以来全てのドイツ代表戦に同行し、代表選手や監督のインタビューを担当してきた。ドイツサッカー協会公認A級指導者ライセンスももっているそんなベルグナーが心に残る試合としてあげたのが、マラカナンでの決勝戦だ。2014年W杯で優勝したドイツ代表の面々が歓喜している様子を現地から生中継で伝えた時の感動を身振り手振りを交えながら、情熱的に伝えてくれた。