――貫太騎手が勝つと子供のファンからも「貫太がんばれー！」と声をかけられるなど、その場がほっこりします。

田口　お客さんからも「貫太」「貫ちゃん」っていっぱい呼んでもらって、すごいですね。いい名前でよかった、と思います。

初勝利で笑顔を見せる田口貫太騎手　©Sankei Shimbun

今の女性ジョッキーをどう見ている？

――貫太騎手が在籍するJRAでは近年、急激に女性騎手が増えました。近年の女性騎手をどうご覧になられますか？

田口　JRA初の女性騎手だった方々が苦労されていたのを薄っすら知っているから、いまは環境がすごく整っていると感じます。もちろん本人たちの努力もありますし、周りの方々の応援する姿勢がすごいなと思います。

――田口厩舎にも深澤杏花騎手が所属していますね。今年1月、全く勝てないでいる時に広美さんから「大丈夫？」と声をかけてもらったと聞きました。

田口　すごくヘコむタイプだと聞いていたので、「こういう時こそ笑顔で頑張ってね」とLINEを送りました。今はたくさん勝っていますよね。でも、基本的には厩舎のことは夫に任せて、私は2歩も3歩も引いてあんまり口を出さないようにしています。実は今回の取材も、私は前に出ないようにしているんですけど、お世話になった笠松競馬や夫、貫太のためになるなら、と受けることにしました。

騎手としても楽しかったし、母としても楽しい

――そんな陰ながら支える広美さんとしては、貫太騎手にはこれからどんな騎手になってほしいですか？

田口　運良く騎手になることができて、周りの方々にも恵まれていると思います。だからこそ、努力し続ける貫太であってほしいなと思っています。この間、「騎手になって良かったやろう？　めっちゃ楽しいやろう？」と聞いたら、「楽しい」と言っていて、すごく嬉しかったです。あとは怪我なくやってほしいですね。

6月12日には誕生日を迎え、49歳となる田口広美さん　©Keiji Ishikawa

――田口さんご自身は振り返ってみて、この人生はどうですか？ 

田口　騎手としても楽しかったし、母としても楽しいです。子どもたちを応援できるし、最高の人生よ。これからは子どもたちが巣立っていって、どうしようかなと、それが最近の悩み事ですね。夫が調教師をしていて、私も厩務員として馬の手入れは続けているので、これからも楽しく馬づくりを一緒に手伝っていければな、と思っています。

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