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オーナーが松井秀喜に口撃「契約したのはこんな選手ではない」ホームランが“消えた”20年前…日本最強バッターが直面“称賛からの猛批判”  

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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posted2023/06/02 11:01

オーナーが松井秀喜に口撃「契約したのはこんな選手ではない」ホームランが“消えた”20年前…日本最強バッターが直面“称賛からの猛批判” <Number Web> photograph by Getty Images

20年前、アメリカ屈指の名門球団、ニューヨーク・ヤンキースに松井秀喜が入団した。ゴジラが挑んだメジャー1年目を振り返る

あの本拠地デビュー戦…衝撃の一発

 いまでも球場の空気が鮮明によみがえる。4月8日、ヤンキースタジアムでの本拠地デビュー戦だった。ツインズとのその試合に「5番左翼」で出場し、2点をリードした5回1死満塁で、松井がその日3度目の打席に入る。異様な熱気に包まれる中、フルカウントまで粘った末にボールを捉える。ライトスタンドに叩きこむメジャー1号本塁打だった。

 ヤンキースの長い歴史でも、本拠地デビュー戦で満塁弾を放った選手は初めてだった。ベーブ・ルース、ミッキー・マントル、ルー・ゲーリッグ、ジョー・ディマジオといったレジェンドたちでさえ成し遂げていない。

「グランドスラム! 何という自己紹介の仕方でしょうか」

 地元テレビ局の実況アナウンサーは、興奮した声で叫んだ。スタンドのニューヨーカーたちは熱狂し、スタンディングオベーションと鳴りやまない拍手、割れんばかりの歓声。トーリ監督から背中を押された松井は、ダグアウトの階段を上がって帽子を高々と掲げ地元ファンのカーテンコールに応えた。

「やっぱりマツイは本物だ」

 ニューヨークで、これ以上ない最高のスタートを切った。日米ファンの期待も一層高まった。しかし、「松井の1年目」はここからが本当の試練だった。

ホームランが消えた…

 結論から言えば、日本で50本のアーチを放った松井は、メジャー1年目を16本という数字で終えた。4月8日の1号のあとは、5試合後の4月14日に2号を放ったが、その後は本塁打が出ない日々が20試合続いた。5月7日にようやく3号を放つも、そこから再び25試合、本塁打が消えた。

【次ページ】 オーナーの口撃「契約したのはこんな選手ではない」

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