これまでも可能性は盛んに指摘されてきたが、ここで個人的な意見を言えば、大谷はニューヨークでプレーして欲しいと願っている。同じニューヨークのチームでも、近年は超金満チームとなったメッツ以上に、ベーブ・ルースが所属し、格式を感じさせるヤンキースのピンストライプのユニフォームを着る大谷の姿が見たいと感じるのは筆者だけではないのではないか。“現代のベーブ・ルース”が“ルースの建てた家”と呼ばれるヤンキースタジアムで定期的にプレーすることの意味は、MLB、大谷自身のキャリアにとって計り知れないほど大きいと思えるからだ。

　もちろんある程度状況を把握したファン、関係者なら、そんなシナリオの難しさはすでに理解していることだろう。ヤンキースはすでにジャッジ、ゲリット・コール、ジャンカルロ・スタントンの3人に超高給を払っていること、スタントンがフルタイムのDHを務めていることなどから、条件、環境面のフィットは実は芳しくない。そもそも大谷自身がアメリカ東海岸を望んでいないという見方も根強い。

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　ただ、それでもーー。

「（ライトの狭い）ヤンキースタジアムを本拠地にしてプレーしたら、シーズン75本くらいの本塁打を打つんじゃないか（笑）」

　レノン記者のそんな言葉の半分はジョークだが、単なる冗談ではすまないほどのポテンシャルが大谷にはある。

　現役最高のスーパースターが、そのスター性を大都会で開花させる姿に興味は惹かれる。すでに述べた通り、そんなシナリオの遂行は難しいとしても、一部のニューヨーカーは夢を見ている。何らかの形で実現すれば、時を超え、球史の数ページを様々な形で書き換えるかもしれないほどの壮大な夢である。

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