WBCアメリカ主将・トラウトは大谷＆日本投手陣をどう見たか？ 「ショウヘイが“第1ラウンド”を勝った」「投手陣はエグい球を投げていた」

　真剣に戦ったからこそ、悔しさも大きかった。WBC決勝で日本に敗れた瞬間、一塁側の米国ベンチは凍てつくように静まり返っていた。チームメートの大谷翔平に空振り三振を喫し、最後の打者となった主将のマイク・トラウトは、ダッグアウトから歓喜に沸く大谷や侍ジャパンの選手達を睨み付けるような視線で見つめていた。ムーキー・ベッツ、ノーラン・アレナド、トレイ・ターナーらのスーパースターも、しばらくぼう然とした表情のまま、立ち尽くすしかなかった。

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笑顔でかわすばかりだった大谷との夢の直接対決

　通常であれば春季キャンプ中で、どの選手にとっても調整途上の段階。各選手のコンディションは万全ではなかった。だが、どの国も条件は同じで、言い訳にはならない。実際、決戦直前のマーク・デローサ監督は、表情を緩めることなく、強い口調で言った。

「国を代表して、同僚を尊敬し、一緒に楽しみながら、一体となって戦うことがどれほどすばらしいことか。我々は燃え上がるし、100％で臨む。ポストシーズンの雰囲気以上だ」

　1次ラウンドでメキシコに不覚を取った教訓もあり、総力戦で挑む姿勢を強調した。

　当初から、日本が難敵であることを、米国側は覚悟していた。大谷やダルビッシュ有の実力は言うまでもなく、大会前にはSNS上で山本由伸や佐々木朗希の映像が頻繁に流れるなど、「WBC史上最高の先発投手陣」と評価されていた。その一方で、誰よりも大谷の実力を知るトラウトは、直接対決が実現する可能性について「もし対決すれば、かなりクールなことだと思う。楽しみたいね」と笑顔でかわすばかりだった。大谷が「日本には僕よりすばらしい選手がいる」と話したことも、半ばジョークのように受け止めていた感は否定できない。

WBC開幕前、エンゼルスのキャンプで大谷と会話をするトラウト　©Nanae Suzuki

「もし2巡目の対戦があれば…」悔やむトラウト

　警戒はしていても、負けるはずはないという本音。

　そこに、わずかなスキはなかったか――。

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