身近で接する彼らは食事面や身体のケアなど、私生活から全てをサッカーに捧げて過ごしていた。当時から「世界」を意識していた集団と一緒に生活した時間は、宮代にとって大きな財産だ。

「例えばですけど、筋トレひとつとっても『今日はちょっと気分が乗らないな』という日もあるじゃないですか。でも昼寝して筋トレルームを覗いたら、みんな汗を流している……。当然『あの人たちがやっているんだから、俺もやらなきゃ』と思いますよね。後輩は先輩の姿勢を見て学ぶと思いますし、それが自分の習慣として当たり前になっていきました」

「自分を試す」という気持ちでは帰ってきていない

　宮代は2年続けてJ1クラブの主力FWとして結果を残し、期限付き移籍を終えた。一方で、昨年のフロンターレは無冠に終わった。2017年から国内タイトルを毎年獲り続けてきていた歴史がストップしたのである。

　宮代の心を占めていたのは「このクラブを強くして、もう一度タイトルを獲りたい」という思いだった。

　復帰して迎えた初日の練習後、静かに意気込みを口にした。

「J1でもやれるのは感じているし、『自分を試す』くらいの気持ちでは帰ってきていない。チームの勝利に多く貢献して、去年できなかった優勝を手にしたい」

　かつての先輩たちのように、自分の力でタイトルを手繰り寄せる。そんな強い覚悟を感じさせる言葉だった。

＜続く＞

#3に続く

宮代大聖と山田新、川崎Fの未来を担う22歳はなぜ“同じ理想”をイメージするのか？ ジュニーニョ、小林悠から続くストライカーの系譜

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