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21歳佐々木朗希の進化を支える「第3の球種」とは…「わしが教えたスライダーはプーだったけれど」と指揮官も脱帽した“ダルビッシュ塾”の物凄い効果
text by
鎌田直秀(日刊スポーツ)Naohide Kamada
photograph byJIJI PRESS
posted2023/04/19 11:03
山本由伸との投げ合いで力投した佐々木朗希。プロ4年目の進化を見せている
「左打者へのスライダー」の腕試しは、西武時代に首位打者経験もある森友哉との対戦。これがオリックス打線を完璧に封じる肝と位置付けていた。初回は162kmの直球で空振り三振を奪った相手に、4回の第2打席では初球からスライダーを低めに投じた。森も少し驚きの表情を浮かべているように見えた。
横の曲がり幅が…進化を遂げるスライダー
佐藤都は試合後、こう振り返った。
「直球、フォークはもちろん良いが、スライダーという球を1球見せるだけでバッターも迷うだろうし、そこも話し合いながら今回は左打者にもスライダーを見せることができた」
その打席でスライダーも選択肢に加え、相手を悩ませた。最後はフォークをストライクゾーンに投げ、スイングさせなかった。見逃し三振。バッテリーの勝利だ。球審のコール前に2人は一塁ベンチに走り出すほど、会心の左打者封じだった。
WBC後に進化を遂げるスライダーについて、佐藤都は「横の曲がり幅は大きくなりましたね。三振が取れる別の球が増えた」と明かす。松川も「去年まではカットボールっぽかった。今はまっすぐの軌道からけっこう横に曲がるので。使っていけば幅が広がるかなと思う」と証言した。
7回1安打11奪三振無失点。佐々木朗は左打者にスライダーを投じたことについて「あんまり言えないんですけれど……。作戦の中の1つ」と多くは語っていない。だが「感覚も良かったので、自分の投げたいように投げられたのかなと思っています」と続けた表情に、大きな手応えと自信がにじんでいた。さらに、曲がり幅などを調整しながら、カウントをとる球と空振りをとりにいく球を使い分けていることを明かした。
「令和の怪物」は第3の武器であるスライダーを自分のものにしようとしている。
「WBCで優勝という良い気持ちを味わえたので、それをロッテでも出来るようにと思ってやっていきたい」
今季はどんな怪物伝説が生まれるのか――。
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