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21歳佐々木朗希の進化を支える「第3の球種」とは…「わしが教えたスライダーはプーだったけれど」と指揮官も脱帽した“ダルビッシュ塾”の物凄い効果 

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鎌田直秀(日刊スポーツ)

鎌田直秀(日刊スポーツ)Naohide Kamada

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posted2023/04/19 11:03

21歳佐々木朗希の進化を支える「第3の球種」とは…「わしが教えたスライダーはプーだったけれど」と指揮官も脱帽した“ダルビッシュ塾”の物凄い効果<Number Web> photograph by JIJI PRESS

山本由伸との投げ合いで力投した佐々木朗希。プロ4年目の進化を見せている 

 今季初登板となった4月6日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で6回1安打11奪三振無失点。スライダーは4球だけだったが、成長は明らかだった。今季の春季キャンプ、練習試合、WBC、リーグ開幕前のライブBPを含めても右打者限定の球種であり、試合でも、すべて右打者に投じた。

 黒木知宏投手コーチが明かす。

「まず、変化が鋭いです。精度が高いか低いかは、まだまだなんですけれど、曲がりが鋭い」

 約1カ月半での違いに目を丸くしたうえで、「おそらく左バッターの膝元にいったらボールが消えるんじゃないかな。軌道も変化量も変わってきています」とし、左打者にも有効活用出来ることを確信していた。

「1点取られたら勝てない」由伸との投げ合いで…

 中7日で迎えた同14日の2戦目登板はオリックス戦(ZOZOマリン)。WBCで侍ジャパンの「先発4本柱」として一緒に戦った山本由伸投手との投げ合いが、進化を加速させた。佐々木朗は覚悟を決めた。

「1点取られたら勝てなくなると思った。初回からランナーを出さないつもりでいました」

 自主トレも一緒に行ったことがあるほど互いの実力を認め合う仲。投げ勝つためには――。1つが左の強打者へのスライダーを解禁すること。それは新たなチャレンジでもあった。

 20試合に登板した昨季は、全1804球中スライダーは98球。割合は5.4%だった。6日の日本ハム戦も80球中、わずか4球。5%と変わらなかった。だが、この試合のスライダーは全105球中17球。16.1%と、実に3倍以上に増えた。

 要因の1つは試合前の判断にあった。女房役が、昨季17試合でマスクを被った松川虎生から19年ドラフト同期の佐藤都志也に代わったこともあり、黒木コーチも含めて投球構成の話し合いが行われた。松川は昨季4月10日のオリックス戦で完全試合を成し遂げるなど佐々木朗との相性も抜群な“相棒”だが、新鮮な視点を持つ佐藤都の「(今までは)投げる勇気がなかったのか……。でも使ったほうがいいと思って」という判断がプラスに転じた。

【次ページ】 横の曲がり幅が…進化を遂げるスライダー

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