日本代表のFW陣は「気を遣いながらプレーしている」

　試合後のミックスゾーンで、記者が上田に問いかけた。「狭い局面に入って、受けて、というのはヨーロッパでの経験が生きているのか」と。すかさず上田が答える。

「そういうシーンは正直ヨーロッパ（セルクル・ブルージュ）にはなくて、チームも今の日本代表みたいなテクニカルなスタイルじゃないので。どちらかと言えば、自分がもともと培ってきたものというか、自分が得意としている部分なので、もっと出していってもいいと思う。（パスが）通らないシーンもありましたけど、少しずつ出てきているなと思います」

セルクル・ブルージュでの上田綺世。30試合14得点とチームの得点源として活躍している　©Getty Images

　さらに「FWがゴールをあげるか否かで勝敗が決まる、という状況に自覚はあるか」という質問が飛んだ。

「日本代表、鹿島、ヨーロッパ、チームに関係なく、どこでもFWが得点の大幅なパーセンテージを持っているのは間違いない。点を取れるFWがいるチームが強いのは、誰でもわかること。そういう意味で、今日の試合も、ウルグアイ戦もそれができないと厳しくなる。中盤にいい選手がたくさんいるので、自分の動きで彼らを生かすというのもひとつですが。僕に限らず、この遠征ならマチ（町野）も拓磨くんも、どの選手がセンターFWをやっても、気を遣いながらプレーしていると思うんです。でも、もっとセンターFWっぽくプレーしてもいいのかなと。今日はそう思ってプレーしました。表現するのは難しいんですけど、ゴールに直結するプレーを出していってもいいのかなと思います」

「それはちょっとエゴイスティックに……」という記者の声に重ねるように、上田は続ける。

「エゴと捉えるかどうかはわからないですけど。貪欲と捉えることもできる。FWの仕事が点を決めることならば、ゴールを決めれば、エゴじゃなくなるわけじゃないですか？　それが僕らのタスクならば、それをやるべき。ポストプレーを求められるなかでゴールを狙いにいっても、僕はエゴではないと思います。少なからず『FWが点を取れない』と言われているなかで、ゴールを決めるために“わがままな動き出し”をやってもいいのかな、と」

【次ページ】　上田綺世が語っていた「理想のFW像」とは