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「大阪桐蔭が“可愛くてごめん”!?」「チュンチュンとは何ぞや…」センバツ“全出場校を現地取材”ブラバン研究家が衝撃「令和の応援は違った」
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2023/03/30 11:01
令和の甲子園「リアル応援」はいつもとは少し趣が違った。印象に残った応援を振り返ってみたい
ほか、男性版清純派7人組アイドルグループ、THE SUPER FRUITの『チグハグ』や、映画『THE FIRST SLAM DUNK』エンディング主題歌、『第ゼロ感』(10-FEET)、大阪桐蔭も演奏していた『ミックスナッツ』、Adoの『私は最強』に加え、特に目立っていたのが、アルプススタンドで掲げられた曲目ボードにあった、『チュンチュン』という楽曲だ。
“チュンチュン”とはいったい何ぞや…
CD一辺倒だった昔と違い、国民的大ヒット曲が生まれにくく、サブスクリプションなどの配信サービスやYouTube、TikTokといった音楽を楽しむツールが大幅に増えた今、筆者としてはヒット曲についていくだけでも大変なのに、「『チュンチュン』とはいったい何ぞや……」とアルプススタンドでしばし考え込んでしまった。生徒たちに聞いたところ、森澤拓海選手が選んだこの曲は、台湾のプロ野球チーム「中信兄弟」に所属する陳子豪選手の応援曲で、人気チアリーダー峮峮(チュンチュン)のテーマ曲としても知られており、やはりTikTokでダンス動画が何百万回と再生されているバズり曲なのだ。
『可愛くてごめん』『チグハグ』『チュンチュン』に共通しているのは、軽快なテンポ感とメロディのキャッチーさ。テンポはBPMとも表記されるが、「Beats Per Minute」のことで、直訳では「分毎の拍」となり、1分間の拍数を表す。
メトロノームで測ってみたところ。『可愛くてごめん』が約160BPM、『チグハグ』が約165BPM、『チュンチュン』が約180BPMというスピード感のあるテンポで、これは心拍数が上がって興奮するし、気分も盛り上がってアルプススタンド全体を巻き込めるのは間違いないだろう。タオル回しが禁止されていなければ、一斉にブンブン振り回すタオルで、さらに一体感が増していたであろう光景が目に浮かぶ。
ちなみに、大阪桐蔭吹奏楽部も、ベスト8が決まった28日の試合から、『可愛くてごめん』を新たに取り入れた。