甲子園の風BACK NUMBER
「大阪桐蔭が“可愛くてごめん”!?」「チュンチュンとは何ぞや…」センバツ“全出場校を現地取材”ブラバン研究家が衝撃「令和の応援は違った」
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2023/03/30 11:01
令和の甲子園「リアル応援」はいつもとは少し趣が違った。印象に残った応援を振り返ってみたい
一方、センバツは1月下旬に出場校が決まり、3月中旬の開幕まで1カ月半ほどの時間があり、コンクールなどの大会がない時期のため、野球応援の練習に費やせる時間がある。吹奏楽部のビッグイベントである定期演奏会を3月に開催する学校も少なくないため、並行して野球応援練習をするという多忙な吹奏楽部もあるが、それでもコンクールがない分、慌ただしい夏よりは、精神的な余裕があるともいえるだろう。
やはり“取り入れるのが早い”〈大阪桐蔭〉
今大会で目立ったのは、新曲を取り入れる学校が多かったこと。野球部同様強豪で、全日本吹奏楽コンクールに何度も出場している大阪桐蔭吹奏楽部は、定番曲に加えていち早くヒット曲を取り入れることでも知られている。連覇を目指す彼らが今回用意したのは、Adoの『新時代』『私は最強』(ウタ from ONE PIECE FILM RED)、『怪獣の花唄』(Vaundy)、『PRAY.』(マカロニえんぴつ)、『KICK BACK』(米津玄師)など。なかでも、特にアルプススタンドが沸いたのが、東京ディズニーリゾートの人気プログラム『ジャンボリミッキー!レッツ・ダンス!』。おなじみの『ミッキーマウス・マーチ』の歌詞、「ぼくらのクラブのリーダーは」を、「俺らの頼れるバッターは」に変えて歌うのが大阪桐蔭流だ。
ほか、YOASOBIメドレー(『群青』『アドベンチャー』『怪物』)、『ジョジョの奇妙な冒険』メドレー、『SOUL 2 SOUL』『ええじゃないか』(ジャニーズWEST)、『ミックスナッツ』(Official髭男dism)など、近年のヒット曲が満載だ。
“BPM160以上”の曲も〈履正社〉
大阪桐蔭とともに、近畿代表として選ばれた履正社(大阪)も、3年ぶりの出場で応援曲にも気合が入っていた。野球部のリクエストで決定した応援曲は、TikTok発の人気曲が多数。西田大志選手の打席で流れた『可愛くてごめん』(HoneyWorks)は、TikTokで爆発的にバズった曲で、独特の歌詞と中毒性のあるメロディーが耳から離れない。
「Chu! 可愛くてごめん 生まれてきちゃってごめん」
「ムカついちゃうよね? ざまあw」
一度耳にすると忘れられないその今っぽい歌詞と、心拍数の上がる160のテンポ。しっかりとした受け答えで、大人っぽく見える野球部員も、寝る前にベッドで毎日TikTokを見ている姿を想像すると、「ごく普通の高校生なんだなあ……」と思わせられる。