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WBC栗山英樹監督の顔色が変わった“3人の選手”…帰国会見、TVに映らなかった“控え組”への気配り「スタメン出場はなかったんですけど…」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/03/29 11:03
NPB所属の26人の選手が次々とコメントする中で、栗山監督が思わず顔を向けた選手が3人いた。その3人への視線にはどのような意味が…?
「勝ち切ったんですけど、もうちょっと上手くやれることなかったかな、と。(中略)もうちょっと活躍できる選手たちがいたんでね、きっと。背中を押してあげられなかったな、と」
それは牧原のことであり、1度しかバッターボックスに立てなかった周東のことであったのかもしれない。
シャンパンファイト“欠場”の20歳、高橋宏斗
会見中、栗山監督が顔を右に振った選手がもう一人いた。
「今まで感じたことのないプレッシャーを感じて、すごくいい経験になりましたし、世界一を勝ち切ることができて……」
高橋宏斗(中日)が「すごくうれしい気持ちです」と言い終える前に、右後ろのほうへと振り返り、一瞥した。
高橋は代表チームの中で最年少20歳での参加。準決勝前には「申し訳ないが、苦しい場面で行ってもらうぞ」と栗山監督から直々に伝えられ、決勝の5回、3-1でリードした場面で登板。1番ベッツから始まる好打順に2安打を浴びながら、2番・トラウト、3番・ゴールドシュミットと連続三振を取る堂々とした投球を見せていた。優勝が決まり、シャンパンファイトの準備をしていた高橋宏斗だったが、アメリカでは21歳から飲酒可のため、歓喜の輪に加われず、隅っこで水のボトルを持ちながら、動画の撮影に勤しんだ。
歴史は「勝者の歴史」
そんな高橋を心配しての“目配せ”かと思ったが、高橋宏斗のコメントには栗山監督がよく使うあるフレーズが隠されていた。それは「勝ち切る」。日本ハム監督時代から良く使ってきたこのフレーズを会見中、発した選手は高橋宏斗だけだった。会見後に向かった首相官邸での優勝報告を終え、栗山監督は記者団にこう語っている。