侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
WBC栗山英樹監督の顔色が変わった“3人の選手”…帰国会見、TVに映らなかった“控え組”への気配り「スタメン出場はなかったんですけど…」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/03/29 11:03
NPB所属の26人の選手が次々とコメントする中で、栗山監督が思わず顔を向けた選手が3人いた。その3人への視線にはどのような意味が…?
「途中からマキ(牧原)に来てもらって、なかなかたくさんの試合に出てもらうことができなかった。でも、一流選手というのは、僕がこう思ってやったんだっていうことを、真正面からちゃんと伝えたら、納得はしないけど、僕の言っていることは理解してくれるというすごさがあるので。それは伝えました」
栗山監督はスピードスターの打撃も評価していた
ホテルの会見場ではその後、マイクが山川穂高、そして村上宗隆、岡本和真と栗山監督の両隣にいる選手のもとへと渡っていく。だが、栗山監督は顔がすぐ見える隣の選手のコメントに特に視線を移すことなく、下を向きながら噛みしめるように選手たちの言葉を聞き続けている。しかし、ある選手がマイクを握ると、顔色を消して、再び視線を右側へと移した。
「えー、なかなかこういう経験はできないと思うので、自分の中ですごい財産に残る大会だったなと、はい、思います。ありがとうございました」
プレー同様、駆け足で言葉を繰り出したのは周東佑京(27歳、ソフトバンク)。内外野の選手12名のうち、スタメン出場がなかったのが牧原と、この周東だった。メキシコ戦では吉田正尚の代走として、正確な打球判断と瞬足を見せ、逆転サヨナラのホームイン。これまでも大舞台で“韋駄天”ぶりが際立っているイメージがあるが、栗山監督は実はその打撃も買っていた。昨年秋の強化試合で周東を招集した指揮官は「打球のスピードが上がった」と評価。「むちゃくちゃ(足が)速い人がずっとヒットを打ってくれるなら、その人が試合に出た方がいい」とスタメン起用の可能性も示唆していた。
栗山監督が記者会見後に語っていた後悔
牧原、周東とタイプは異なるが、栗山監督も現役時代、外野手として控えの味を知る選手だった。その心情がわかるからだろうか、会見では他の選手が間にいて距離もあり、顔色をうかがい知ることはできないはずなのに、それでも視線を向けて必死に表情を探ろうとする動きが印象的だった。
会見後の深夜に生出演した日本テレビ系『news zero』で、帰国してくるまでにこんな反省をしていたと明かした。