侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
「キャー!村神様!」「どすこーい!(野太い声)」侍ジャパン凱旋帰国、TVに映ってない“成田の出待ち”がアツかった「なぜかタイ語が…」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byShiro Miyake
posted2023/03/25 17:00
出迎えの歓声に応える栗山監督。MLB組はアメリカで解散となったが、NPB球団所属の侍ジャパン選手たちを目当てに1200人以上のファンが成田空港に駆けつけた
「今日の朝、岐阜から新幹線で来ました。夜に都内で打ち合わせがあるんですけど、その間に行けそうだったので、行こうと。このユニフォームですか? 中日ファンなので、中日のユニフォームと迷ったんですけど、ここは代表なので“サムライブルー”で行こうかと」
岐阜在住の長澤陽介さん(34歳、会社役員)は新幹線で東京に到着後、成田空港に15時にやってきた。そのため、すでに待機列はできあがっており、後方で出迎える形になった。お目当ては村上選手とのことだが、写真は撮れたのだろうか? そう聞くと、傘を持ちながらこう答えてくれた。
「こんな状態になっているので、撮れているかわからないんですよね」
笑いながら話す長澤さん。撮れているかではなく、選手たちが帰ってきた瞬間に祝福する。その空間に身を置けたことが満足なようだった。
勝たないと伝わらない
帰国後、記者会見を行った栗山監督はこんな思いを語っていた。
「子どもが少なくなっていく中で、いろんなエンタメやスポーツが頑張っている。ただ、われわれは野球の面白さ、すごさを先輩から引き継いで次の世代に伝えていく。子どもの時、僕もプロになれば生活できると夢を持った。そういう環境を残していかないといけないが、勝たないと伝わらないので」
ユニフォームを身に着けたコアな野球ファンだけでなく、地元の女子高生も、スーツケースを片手にした観光客も、赤ちゃんを抱く父親もわざわざ足を運んだのは、視聴者を熱狂させる戦いがあったからこそ。人垣に埋もれて選手が見えなくても、多くのファンが到着を待っていたのは、「勝って伝わった何か」があったからだろう。
選手が姿を現すまで練習を繰り返していた増井さんは選手たちが過ぎ去った後、時折息を切らしながら、達成感を帯びた表情でこう教えてくれた。
「感謝を伝えることができました! 栗山監督や岡本(和真)選手、宮城(大弥)選手はグータッチもしてくれて、嬉しかったです。今日は都内に泊まって、明日(3月24日)は国立競技場で行われるキリンチャレンジカップ(ウルグアイ戦)を見に行きます」
勝たないと伝わらない。熱狂のバトンはサッカー日本代表に受け継がれた。
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