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「ヨシダが世界へ向けて自己紹介」死闘メキシコ戦の吉田正尚HRが大絶賛…WBC準決勝の“リアル現地報道+球場の雰囲気”とは
posted2023/03/26 11:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Naoya Sanuki
準決勝第1戦は、アメリカの圧勝だった。
1回表、キューバに幸運な内野安打が3本続いて無死満塁。4番デスパイネ(元ソフトバンク)の押し出しの四球で先制し、なおも無死満塁のチャンスが続いたが、アメリカの先発ウェインライト(カージナルス)の力投の前に後続を絶たれた。
その裏、アメリカは走者1人を置いて3番ゴールドシュミット(カージナルス)がホームランを放ってあっさり逆転。2回には、前日の準々決勝ベネズエラ戦で逆転の満塁ホームランを放った9番ターナー(フィリーズ)のソロホームランで突き放す。その後も、アレナド(カージナルス)のタイムリー三塁打、ターナーの3ランなどで6回まで毎回得点の猛攻。マイコラス(元巨人、カージナルス)らがキューバの反撃を1点に抑え、14-2と圧勝した。
“恐怖の9番ショート”にアメリカ監督がジョーク
地元の日刊紙「マイアミ・ヘラルド」は「アメリカがキューバを蹴散らして決勝へ」の見出しをつけ、約3万6000人の観衆を集めたローンデポ・パークで、4本のホームランを含む14安打の猛攻でキューバを粉砕したことを伝えた。そしてアメリカのマーク・デローサ監督の「選手たちは皆、鋭い振りをしてくれた。誰一人として利己的ではなく、後ろへつないで貪欲に点を取り続けた」というコメントを紹介。
その一方で、アメリカ在住のキューバ人たちによる母国政府の独裁的な政治姿勢への抗議活動が試合中も行なわれたことを伝えた。試合後、このことについて聞かれたキューバのアルマンド・ジョンソン監督は、「誰にでも自分の考えを表明する権利がある。ただ、我々は野球をするためにここへ来ただけだ」と言葉少なだったことを伝えた。
試合に関しては、前日のベネズエラ戦のヒーローだったターナーが、この日は2本のホームランを放ち、とりわけ6回裏のスリーランがダメ押しとなったことを紹介。デローサ監督の「大会前から、私は『ターナーは打つぞ』と言っていた。あいつを9番に据えた馬鹿者は一体誰だ」と冗談を飛ばしたことを報じた。
試合を中継したフォックス・スポーツは「アメリカは、攻守両面でプラン通りの理想的な試合をした」、「初回に不運な内野安打が続き、押し出しで先制を許したが、その後のピンチを抑えたのが大きかった」、「攻撃陣では、ゴールドシュミットの逆転ツーランとターナーの2本のホームランで大量得点。投手陣も、ウェインライトが2回以降は立ち直り、リリーフ陣もキューバ打線をほぼ完璧に抑えたのが大勝につながった」と伝えた。