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「キャー!村神様!」「どすこーい!(野太い声)」侍ジャパン凱旋帰国、TVに映ってない“成田の出待ち”がアツかった「なぜかタイ語が…」
posted2023/03/25 17:00
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph by
Shiro Miyake
「優勝、おめでとうございます!」
3月23日、成田空港、第2ターミナルの到着ロビーに響いた男性の声。その声を後押しするように大きな拍手が鳴り響く。
その視線の先にはWBCで優勝を果たした侍ジャパンの選手たちがいる……と思いきや、もぬけの殻。時刻は14時。これは選手が姿を現した16時から2時間も前の出来事だ。
声の主はヤクルト・村上宗隆のユニフォームを着た増井孝充さん、55歳。片手に大谷翔平の侍ジャパンのユニフォームを持っている。本人に話を聞いた。
14日間有給を取りました
「『優勝おめでとうございます』と『夢と感動をありがとうございます』という思いを伝えたくてやってきました。羽田か成田かどっちだろうと思っていたんですが、どうやら成田のようだと分かって朝8時に来まして。ちゃんと伝えられるように声出しの練習をしていました。一番見たいのはやっぱり村上選手ですね。最初は4番から外して早く楽になってもらいたいと思って見ていました。でも準決勝で鬼気迫る表情を見て、村上選手がもうひと段階成長したような印象を受けました。改めて間近で見れるのが楽しみです」
選手を待ち望み、頬を紅潮させて話す増井さん。なんと三重県津市から来たのだという。
「アメリカには行けませんでしたが、準々決勝まで東京ドームで見てきました。仕事は製造業の会社に勤めているのですが、どうしても行かせてほしいと頼んで、14日間有給をもらって、準決勝、決勝は東京のパブリックビューイングで見ていました」
サッカー日本代表と異なり代表ユニ着用は少なめ
14日間の有給も驚きだが、言われて気づいたのは、初戦の中国戦から帰国の23日までちょうど2週間だったということ。短くも濃い14日間。その日々を彩った選手たちを一目見ようと人垣はどんどん大きくなっていく。
最前列には「感動ありがとう」のボードを持ち、侍ジャパンのユニフォームを着た女性がいるが、それ以外のファンはほぼ普段着。この取材後、サッカーW杯での「成田の出待ち」を取材した記者に話を聞くと、「サッカーファンの方がユニフォームを着用する文化なのかもしれませんね。もしくは侍ジャパンユニが売り切れまくってるという報道を踏まえると……なかなかユニが手に入らなかったのかなあ」とのことだった。 列の後方には座椅子を使い一眼レフカメラを持って、その姿を捉えようとする熱心なファンもいるにはいたが、観衆のほとんどは自分のスマホを突き上げてみては選手が撮れそうか試しながら時間を過ごしていた。