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顔面直撃でも血だらけノック続行「普通の子ならすぐ歯医者に」源田壮亮のスゴすぎるド根性っぷり…侍Jを引っ張る“たまらん守備”の原点 

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前田泰子

前田泰子Yasuko Maeda

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/03/09 06:02

顔面直撃でも血だらけノック続行「普通の子ならすぐ歯医者に」源田壮亮のスゴすぎるド根性っぷり…侍Jを引っ張る“たまらん守備”の原点<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

「#源田たまらん」のハッシュタグができるほど多くの人を魅了する源田壮亮の守備力。WBCでは打撃や走塁でも存在感を発揮したい

 入学当時は158センチと新入生の中でも一番小さかったが、ショートの定位置から一塁までノーバウンドで投げられなかった“小さな新入生”の将来性を信じた吉野さんは、当時3年生の正ショートに源田を託した。

 練習が終わると、2人はいつも居残り練習をしていたという。

「キャプテンをやっていた子で、守備もうまかった。2人とも野球が大好きで負けん気が強い。よく合っていたと思います」

 吉野さんは指導方針としてグラブの下に装着する守備用手袋を使用させなかった。それは5本の指でしっかりとボールを掴む感覚を養うため。捕球の感覚もそういう練習から養われていったのかもしれない。

 人一倍熱心だった源田は誰よりも多くノックを受け、暇さえあれば壁当てでボールを捕る練習を繰り返した。

打球が直撃、取れた歯をポケットに…

 ノック中、打球が跳ねて源田の口に直撃したことがあった。中野さんは「そこまでボールから目を離さなかったってことでしょうね」と当時を懐かしむ。しかも打球が当たった衝撃で前歯が取れたにもかかわらず源田はその歯をポケットにしまって、血を流しながら最後までノックを受け続けたのだ。

 その光景を見ていたチームの関係者も「普通の子ならすぐに練習をやめて歯医者に行くと思うんですけど、すごい根性だなと思いました」と驚かされた。源田の鬼気迫る姿に、見守る指導者たちも練習を中断することができなかったという。

「体は小さかったし、肩もそれほど強くはなかった。うまくなったのは本人の努力ですね。バッティングでも遠くに飛ばせないけど、チームのために自分ができることは何かをいつも考えていました」(吉野さん)

【次ページ】 高校時代から“1球ごとに位置を変えていた”

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