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「ダルビッシュや大谷の後に…どんなメンタルで投げるんや」23歳大勢の恩師ドキドキな心境「マウンドに立ったらチャンネル変える」
posted2023/03/09 06:03
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
KYODO
昨年8月に新人投手では史上4人目となる30セーブを達成し、シーズン57試合で1勝3敗37セーブという堂々たる成績を収めた巨人・大勢(23歳)。セ・リーグ新人王を獲得するなど破竹の勢いでプロ1年目を駆け抜けた若武者は、世界一を目指す侍ジャパンの一員にも選出された。
PL学園出身で、大勢の母校である関西国際大学の恩師である鈴木英之監督は、教え子の快進撃をどうみているのだろうか。
「運を味方につけたという感じですかね。抑えというのは2、3点差の場面でマウンドに立つんですけれど、プレッシャーがとにかくキツイ。(PL学園時代の後輩である)桑田(真澄)がコーチでいてくれたのも大きかった。最初は色んな運が重なっているなと思っていましたが、それを結果に結びつけたのは(大勢の)実力ではないかと思いますね。チーム事情、巡り合わせなどもあったと思います。“運も実力のうち“とは言いますが、まさにその通りだと思います」
「15勝」を期待されていた入団時
鈴木監督が言う“巡り合わせ“のひとつに、チーム事情が大きく絡んでいた。
ルーキーながら守護神として地位を確立した大勢だが、当初は先発として背番号と同じ「15勝」を挙げてほしいという期待を寄せられていた。だが、抑えで起用を想定していた外国人投手の調子が良くなかったこと、そしてオープン戦7試合に登板して好調を維持していたことで白羽の矢が立ったのだ。
もともと、大勢は同じ関西国際大の先輩であるロッテのセットアッパー益田直也に憧れを抱いてきた。余談だが、「益田さんのようになりたい」と“プロ野球界で活躍したい“という意味合いでコメントしたつもりが、翌日の新聞に「抑え志望」という記事が出てしまったこともあった。その記事が発端で“抑え”に抜擢されたのかは定かではないが、「今のポジションは自身に合っていると実感しているみたいですね」と恩師は笑う。
そんな愛弟子のスタートは冷や汗ものだった。昨シーズン開幕戦の中日戦、2点リードの9回表に登板。最後は2死満塁まで追い詰められた。