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「お前、今いい目してるね」西岡剛が明かす“イチローさんの激励”…21歳だったWBC、阪神でリハビリ中に…「自分の成長を感じられる」 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2023/03/06 11:01

「お前、今いい目してるね」西岡剛が明かす“イチローさんの激励”…21歳だったWBC、阪神でリハビリ中に…「自分の成長を感じられる」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

イチローの存在、世紀の誤審、奇跡の準決勝進出……西岡剛が第1回WBCの舞台裏を明かす

 初戦の中国戦での観客数は1万5869人。最大で約5万人を収容できる東京ドームを考えれば、関心の薄さが伝わってくる。

 そんな、どこかでイベントに参加しているような軽い気持ちに陥りそうになっていた西岡のテンションを高めたのが、2番バッターという役割である。

 活性剤となったのは、憧れていたイチローだ。1番バッターを担うスーパースターから試合の度に言葉をかけられ、西岡が奮い立つ。

「お前はいいセンスしてるから、自分の感性を大事にしていけよ」 

怖いもの知らずでいけました

 目の前には、いつもテレビで見ているルーティンを淡々とこなすイチローがいる。

「僕はネクストバッターズサークルから一番近くにいさせてもらったんで、イチローさんの作り出す空気に『入らせていただいた』って感じで。怖いもの知らずでいけました」

 実際、西岡にとっても2番は居心地がよかった。初球から積極的に仕掛けるスタイルのイチローが出塁すれば、「俺も続くぞ!」と意気軒高で打席に立てたし、凡打すれば「自分からチャンスを作る」と冷静になれた。

 怖いもの知らずは、第2ラウンド初戦のアメリカ戦でも不変だった。デレク・ジーター、ケン・グリフィーJr.、チッパー・ジョーンズ。メジャーリーグのスター選手を前にしても「楽しい!」と、気後れは微塵もない。なおかつ、イチローが先頭打者本塁打を放ったことでボルテージが上がり、2番バッターの自分もセンター前ヒットで続くなど、それはパフォーマンスでも証明できていた。

 3-3の同点で迎えた8回も、西岡の頭と体は軽く、柔軟だった。

「世紀の誤審」もなぜ冷静だった?

 この回の先頭バッターとしてセンター前へのヒットで出塁。続く3番の多村仁がバントを打ち上げ二塁へ進塁できずとも、4番の松中信彦の打席で初球からスチールを成功させた。西岡が打開したチャンスから日本は、1アウト満塁と勝ち越しの絶好機を作る。

「クロスプレーになるな」

 岩村明憲がレフトに打ち上げた瞬間、三塁ランナーの西岡は瞬時にプレーを描く。レフトが定位置で構え、前進しながら捕球しようとする動きを見せたとなると打球が浅いことは明白である。西岡の意識は、三塁ベースに添える左足に集約されていた。

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