- #1
- #2
侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
「栗山監督は攻撃的な野球をしない」日韓野球を知り尽くす“野神”金星根(80歳)が指摘する侍ジャパンの弱点…ベタ褒めの日本人投手は?
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/02/27 17:00
史上最強と評される侍ジャパンを率いる栗山英樹監督
「大谷(翔平)やダルビッシュ(有)ら豪華な投手陣に加えて、打者にも村上宗隆といった話題性がある選手もいる。“過去最強”とか“ベストメンバー”と言われていますね。でも、それは2008年北京五輪(日本は4位、韓国が金メダル)や過去のWBCでも同じこと言うてたと思います。ベストメンバーでも負けることがあるので、ようはどう使いこなすのかですよ。(日韓戦で2敗を喫した)北京五輪は僕も現地で試合を観ていましたが、選手を使いきれていなかったですから」
選手たちが能力を最大限に発揮するためには首脳陣の手腕がカギを握る。そう冷静な視点で日本を見る“野神”は、かつては敵として相対した栗山英樹監督をどう見ているのか。
「私が日本にいた5年間、栗山監督の采配を見てきました。丁寧というか、攻撃的な野球はあまりしていない印象を受けましたよ。アメリカ的な野球をする人。これは“悪い表現”になるかもしれんけど、対戦相手からすればガッと攻めてくる感じはあんまりなかった。『なぜここでこの采配なのか』というのは感じていました。これほどの実力あるメンバーをうまく使いこなす作業はかなり難しいことで、しかもそれをWBCという国際大会でやらないといけない。栗山監督の手腕にも注目ですね」
さらに、日本プロ野球界の最前線に身を投じてきた金氏は日本のウィークポイントを教えてくれた。
「日本は“初対面のピッチャー”に弱い」
「日本のデータ分析力は高いと思います。実際に私も日本のロッテやソフトバンクにいましたが、本当にデータはしっかりしていた。でも、そうしたデータは国内で使えるデータであって、海外では通用しない。日本の打線は初対面のピッチャーに対して弱いところがあり、データが乏しい状況では実力以上のことを発揮しにくい。初めて対戦するピッチャーの球種の変化や癖がわからないと対処に苦戦するかもしれません。それは韓国相手に限らず。そういう場面を過去の大会でもずっと見てきたので、今回の日本にもそういう危険性があるんじゃないかなと思っています」
当然、本大会に向けて“分析”は強化しているはずだが、金メダルを獲得した東京五輪と比べて若いメンバーも多く加わっている。選手の力を引き出す首脳陣の采配に金氏は期待した。
また、野手の顔ぶれにはこんな懸念を明かす。