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侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
「栗山監督は攻撃的な野球をしない」日韓野球を知り尽くす“野神”金星根(80歳)が指摘する侍ジャパンの弱点…ベタ褒めの日本人投手は?
posted2023/02/27 17:00
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
Hideki Sugiyama
饒舌な日本語と関西弁が妙に心地よい。
「勝つか負けるかは試合をやってみないと分からない。一番大切なんは、日本代表はこれだけのメンバーをどのように、どれだけ使いこなすのかでしょうね」
そう、淀みなく言葉を発したのは、昨シーズンまで福岡ソフトバンクホークスで“監督付特別アドバイザー”を務めた金星根(キム・ソングン)氏だ。来月開幕するWBCを前に、NumberWebのインタビューに応じてくれた。
3月10日に控える日韓戦(2戦目)は1次ラウンドの大きなポイントになる試合だ。
オールプロで臨んだ2004年アテネ五輪の予選(03年)以降の主要国際大会での両国の対戦成績は17戦して日本の10勝7敗。中でも、連覇を達成した2009年WBC第2回大会では5度対戦し、3勝2敗と韓国には苦しめられた歴史がある。東京五輪でメダルを逃した韓国だが、日本が相手になると底力を発揮してくるのは周知の事実。“史上最強”と評される侍ジャパンが上位2組の準々決勝ラウンドに進出するためにも、取りこぼしは許されない。
“野球の神”と呼ばれる重鎮
日韓戦の展望を尋ねる前に、まずは金氏がどんな人物なのかを紹介しておきたい。
京都府生まれの在日コリアン2世である金氏は、京都・桂高校を卒業後に韓国に渡って実業団の投手として活躍。引退後は韓国プロ野球(KBO)の7球団で監督を務め、2014年まで通算1300勝以上をあげた韓国プロ野球界の重鎮の一人だ。もちろん日本語も堪能で、2005〜06年には千葉ロッテマリーンズでコーチを務め、18年からはソフトバンクホークスの王貞治会長の招きで、コーチングアドバイザーに就任。練習への取り組みに対して妥協のない指導をすることでも有名で、当時監督だった工藤公康氏からの信頼も厚く、日本シリーズ連覇にも貢献した。
現在は80歳と高齢だが、韓国では野球の神を意味する“野神(やしん)”の愛称で知られ、歯に衣着せぬ発言で国内メディアにも引っ張りだこ。WBCを前に日韓の野球事情を探るにはうってつけの人物だろう。
そんな金氏は今回の日本代表メンバーを見て、どのような印象を持ったのか。