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出場2打席でも…前回WBCの控え捕手・大野奨太が明かす“ベンチ侍”の仕事の流儀 小林誠司、炭谷銀仁朗と話したことは
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/02/24 06:00
WBC前年の2016年秋に行われたオランダとの強化試合では劇的なサヨナラ安打を放った大野
情報の共有と団結力。日本ハムやパ・リーグの投手の特長は、小林に伝えた。ブルペンにも顔を出し、リリーフ投手の球を受け、会話を重ねた。
「よく使ったのは食事会場でした。スコアラーさんと話す機会も多かったですし、投手とコミュニケーションをはかるのにも良かった。とにかく短期間。いっしょに野球をやっていなかった選手とともに戦うわけですから。バッテリーで考えや意思を共有すること。一致してないと相手と戦えませんから」
「感情が高ぶって…」忘れられないアメリカ戦
1次、2次ラウンドと準決勝。全7試合で最も覚えているのは敗退したアメリカとの準決勝だと言う。
「僕はベンチにいて、ベンチで見ていた。それなのに、感情がすごく高ぶって、モチベーションはグッと上がっていました」
3人でひとつ。短期間ではあったが、その集大成の試合だったのかもしれない。強力アメリカ打線を6安打、2点に抑えての惜敗。今、思うことがある。
「キャッチャーって人によって考えが違います。こんな考えが……。へえ、そうなんだ……。外からの意見と自分の目は違うものです。でも、それが後々に財産にもなった。いろんな目で、いろんなチームでやっている人の考えを知ることができましたから」
新型コロナの影響を考慮し、今大会のロースターは30人。だが、捕手は甲斐拓也(ソフトバンク)、中村悠平(ヤクルト)、大城卓三(巨人)の3人制で変わらない。3人でひとつ。共有と団結を成し遂げた先に、世界一はある。
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