草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
出場2打席でも…前回WBCの控え捕手・大野奨太が明かす“ベンチ侍”の仕事の流儀 小林誠司、炭谷銀仁朗と話したことは
posted2023/02/24 06:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Naoya Sanuki
残した足跡はたった2打席で、ヒットは打っていない。それでも大野奨太にとっては、侍ジャパンの一員としてプレーした大切な思い出である。
「中国戦ですよね? ものすごく緊張していたことは今でも覚えています。そんな中でも勝つことしか考えていませんでした。自分が目立ってやろうとか、活躍したいとかよりも、点が入るのなら何でもやってやる。守りなら絶対に点を取られないように。とにかくそれだけでしたね」
選ばれたのは小久保裕紀監督が率いた第4回WBC(2017年)。現在は中日だが、当時は日本ハムの所属だった。大野にとって結果的に唯一の出場試合となったのは、1次ラウンドの中国戦(3月10日)。難敵のキューバ、侮れないオーストラリアを下して迎えた第3戦で、すでに1位通過が決まっていた。要するに緊迫する局面ではなかったのだが、大野の胸中はそうではなかった。
5対1とリードした5回の守りから出場し、藤浪晋太郎(当時阪神)、増井浩俊(当時日本ハム)、松井裕樹(楽天)、平野佳寿(オリックス)、秋吉亮(当時ヤクルト)を1イニングずつリードして、計被安打1、8奪三振の無失点で試合を締めくくった。先述のように打っては三振と二ゴロに倒れた大野だが、強力投手陣の力をしっかり出し切らせた。