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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
村上宗隆に大谷翔平…イチローら歴代WBCと比べても侍打線は「若くて史上最強」ヌートバーも出世街道、1つだけ懸念は?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/02/22 17:08
守備練習に励む(左から)山川穂高、村上宗隆、岡本和真。本塁打王経験トリオがファーストとサードの“レギュラー争い”を繰り広げる、分厚い陣容だ
「いくらメジャーリーガーと言っても打率.228、14本塁打。規定打席にも達していない中途半端な選手じゃないか、過大評価じゃないのか」
との声も上がっているようだが、彼のキャリアSTATSを子細に見ると、ヌートバーはすでに「出世コース」に乗っていると思われる。
2018年にカージナルスに8巡目(全体243位)で指名された時点では、それほど目立つ選手ではなかったが、2018年にA-(56試合)でプロ入りすると2019年には1シーズンでA(29試合)、A+(39試合)、AA(33試合)と3つのクラスを短期間で駆け上がった。2020年はマイナーリーグが休止となったが、2021年にAAAに昇格するとわずか35試合でメジャー昇格している。
これは球団幹部がヌートバーを早い時期から「メジャーで通用する」と確信したからだ。
ヌートバーが好打者である証拠の指標とは
そしてメジャー2年目の昨年、春先は低調だったが7月には打率.317、3本塁打、8月には打率.284、5本塁打と期待にたがわぬ活躍をしたのだ。9月は打率.179、4本塁打と調子を落としたが、今シーズンは間違いなくレギュラーで活躍し、近い将来スーパースターになる可能性もかなりあると思われる。
昨年、ヌートバーは108試合で51四球を選んでいる。選球眼の良さが目立っている。その上、左打者なのに左投手は打率.273(右投手は.217)と良く打っている。これは好打者の証拠と言ってもよい。
端的な言い方をすれば現時点でのヌートバーは「日本によく来る外国人選手」とは「別物」と言ってもよい。栗山監督は慧眼だと思う。
ヌートバーが日本人選手に溶け込んで、縦横無尽に活躍すれば、侍ジャパンに「化学変化」が起こるのではないか。そんな未知数の愉しみも今年のWBCの見どころと言えよう。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。