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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
村上宗隆に大谷翔平…イチローら歴代WBCと比べても侍打線は「若くて史上最強」ヌートバーも出世街道、1つだけ懸念は?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/02/22 17:08
守備練習に励む(左から)山川穂高、村上宗隆、岡本和真。本塁打王経験トリオがファーストとサードの“レギュラー争い”を繰り広げる、分厚い陣容だ
2013年は前年に反発係数が低い統一球が導入されたために、NPB選手の打撃成績が急落したこともあり、5大会の内では極端に数字が悪くなっている。
2023年の平均年齢は一番若く、上位5人の本塁打数(185本)は2006年(187本)に次いで多い。2023年は、MLBの大谷翔平の数字も入って2006年に匹敵する数字になっている。今年の打線は、実質的に侍ジャパン史上最強の破壊力と言ってよいのではないか。
「大谷ルール」の中でDHをどう運用するか
ただし、打線に一つ、懸念材料がある。DHだ。過去4大会でDHに入った選手を見てみよう(途中出場も含む)。
2006年
松中信彦 7試合
2009年
稲葉篤紀 7試合
栗原健太 2試合
小笠原道大 2試合
内川聖一 1試合
城島健司 1試合
2013年
井端弘和 3試合
角中勝也 2試合
松井稼頭央 1試合
内川聖一 1試合
阿部慎之助 1試合
長野久義 1試合
2017年
山田哲人 7試合
2006年、王貞治監督は、前年本塁打、打点の二冠王になった松中信彦をDHに固定して使った。しかし2009年の原辰徳監督は、36歳の稲葉篤紀、35歳の小笠原道大とベテランをDHで起用したほか、栗原、内川、城島といったポジションが被った選手の打撃を活かすためにDHで起用している。
2013年の山本浩二監督も、坂本勇人を遊撃に据え、しぶとい打撃が光る井端弘和、外野手登録の角中勝也をDHで使うなど、打撃を活かすために6選手をDHで使っている。2017年の小久保裕紀監督は、二塁を菊地涼介で固定したため、山田哲人をDHで起用し続けた。
このようにDHは、ベテランやポジションが被る選手を活かすために重宝する役割になっていた。
しかし今回、DHは大谷翔平で固定される。大谷は、NPB時代に外野を62試合守っているが、エンゼルスは守備に就くことを許さないと考えられるので、実質的にDHは大谷のポジションになる。
村上宗隆とポジションが被る岡本和真、さらには岡本が一塁に回ったときの山川穂高などはDHで使いたいところだが、それは難しくなる。また左翼は吉田正尚の起用が予測されるが、吉田はお世辞にも強肩とは言えない(なお吉田は昨年オリックスで119試合に出場し、79試合はDHだった)。
このことを考えても「DHがすでに塞がっている」ことで、選手起用が窮屈になると言えよう。このパズルのような難題を栗山英樹監督はどのようにクリアするのだろうか。
ヌートバーはすでに出世コースに乗っている
最後にラーズ・ヌートバーについて。